「怪我の功名?」





ガチャっと小さい音を立ててドアを開ける。
そのまま、ゆっくりとドアを閉め、なるべく足音を立てないように部屋の奥へと進んで行った。

ベッド脇の小さな灯りに照らされた人影は、眠っているであろう人物の方へと近づいた。


「映士…」


無茶をして、と蒼太は続ける。
ベッドのには時々苦痛に顔を歪める映士が眠っていた。

あの時、さくらと同じ事を自分も考えていた。
なのに何故、自分が一緒について行かなかったのだろうと悔やむ。
自分が側にいれば、こんな怪我などさせなかったのに、と。
実際、映士を守りきることなんて出来たかどうかは判らないが、それでも思わずにはいられない。

もう一度小さく名を呼んだ後、蒼太は、そっとベッドから離れようとした。


「なんか用か?」


眠っているはずの映士が離れようとした蒼太の腕を掴んでいた。
しかし、その手にはあまり力が感じられない。
蒼太は自分を掴んでいる映士の手をそっと外し、シーツの中へと戻してやった。


「おまえがゴチャゴチャうるせーから目が覚めちまっただろ」

「ゴチャゴチャなんて言った覚えはないけどね」


顔さえ見れれば良いと思ってやってきたのだが、起こしてしまっては仕方がない。
蒼太は近くに有った丸椅子を引き寄せ座った。


「いや、オレ様には聞こえたぜ?
 無茶しやがってとか、代わってやれば良かったとか、あと…」

「あと?」


そこまできて、蒼太に言われた言葉を思い出す。
映士が好きだ、と。
途中までは夢うつつで聞いていたのだが、その一言で一気に目が覚めたのだ。
しかし、それを口に出すのが恥ずかしい映士は天井をみつめ、ボソボソとごまかした。


「その…オレ様の事がどーこうとか、な!」

「ああ、聞こえてたんだ。じゃ、そういう事で」

「そういう事って、おまえ…オレ様は男だぞ?」

「それがどうかした?僕には全然問題ないけど」


問題ないときっぱり言う蒼太に、映士もそんなもんなのかと妙に納得してしまった。
怪我のせいなのか、それとも先日読んだとある武将の伝記が影響しているのか…
蒼太の思いに嫌悪感を抱いている様子はまったく見受けられなかった。
そんな映士の心情を素早く察した蒼太は、おもむろに立ち上がると、映士の滑らかそうな肌に紅い痕をひとつ残した。
それは丁度、包帯をしている方とは反対側の鎖骨辺りに。


「うあっ、蒼太!おまえなにしやがるんだっ!!」

「映士は無防備だからね。
 昼間もチーフや真墨がどんな目で映士の事を見てたか知らないでしょ。
 でもこうすれば嫌でもパジャマを着なくちゃいけなくなったよね」


悪びれる様子もなく、にっこりと笑って言いのける蒼太に、映士は怒る気力を失っていた。


「それじゃ、そろそろ僕は帰るよ。いろいろ収穫もあったことだし。
 映士はゆっくり寝て早く治すんだよ」

「収穫ってなんだ?」


映士の問いに笑顔だけで答えて、さっさと蒼太は部屋を出て行てしまった。
残された映士が、その後朝まで眠れるはずがなく…


翌日、しっかりパジャマを着込んだ映士が眠そうな顔をしていたのはいうまでもない。




一人銀受け祭り(笑)に頂いてしまいましたv

31話ネタですよ!

世間様では桃銀だったり
ラストの妖しい二人の世界で
赤銀だったりする中で
あえての青銀!
お素敵です〜vvv
いつもお世話に
なりっぱなしですみません!

ゆかりさま、ありがとうございました〜vvv


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