ある休日の有意義な過ごし方 |
休日の朝。 ぼんやりと目を開けてベッドの中から腕を伸ばし、アラームを止めておいた目覚し時計を 手にとって覗き込むと、もう朝と呼ぶには少々日の高い時刻だった。 でも今日は休みだから・・・いいじゃん、たまには。 時計を元に戻してゆっくりと起き上がりざま腕を上げて体を伸ばす。 一息ついて、惰眠を貪り寝惚けた頭をシャワーでしゃっきり目覚めさせ遅めの朝食をとる。 一人の食事なんて簡単だ。 トーストとコーヒーとハムエッグと、レタスをちぎってトマトを添えるだけの簡単サラダ。 これで十分。 新聞を広げて目で内容をさらいながら朝食をお腹に入れて。少ない食器を手早く片付けて。 さて。出掛けるとしますか。 荷物は財布と携帯だけで、向かう先は最愛の恋人が暮らすマンション。 といっても、今日は部屋の主は仕事でいないんだけど。 仕事柄俺の休みは結構不規則で、彼は出来るだけそんな俺に合わせて休みを取ってくれる んだけどうまくいかない時だって当然ある。 たまの休みを一緒に過ごせないのは正直寂しいけどそれは仕方がない。 だけど、たとえ側にいなくても少しでも彼を感じていたくて。 そして仕事を終えて帰って来る彼を待っていたくて、俺は彼の留守宅を訪れた。 渡されてる合鍵でドアを開け、小さく「お邪魔しまーす」と呟いて中に入った。 しんと静まり返り、カーテン越しの鈍い光だけが差し込む薄暗い部屋を一通り見回し、俺 は拳を固めて改めて「よしっ」と気合を入れ、行動を開始した。 まずは部屋中のカーテンを開き窓を開けて回る。 太陽の日差しと匂いが風と共に入ってくるだけで部屋の空気が変わってすごく気分がいい。 それからおもむろに風呂場へと向かう。 目的は同じ場所に置かれている洗濯機だ。 その中を覗いてみるとほらやっぱり。 学生時分の名残なのか意外と洗濯物を溜めちゃうくせがあるんだよね〜。 俺なんか量が少なくてもその日の洗濯物はその日のうちに洗っちゃわないと気持ちが悪い けどなぁ。 今日はお天気がいいから今から洗って干しても十分乾くはず。 なんてそんなことを思いつつ、洗剤を入れて洗濯機のスイッチを押す。 全自動洗濯機を開発した人はエライと思う。 昔はこれを全部手洗いしてただなんて、想像するだけでくたびれちゃうよ。 順調に稼動する洗濯機の音を聞きながらついでに浴室も軽く掃除。 あれ。シャンプー切れかけてるじゃん。同じモノで良ければ後で買ってきてあげよ。 続いて各部屋に掃除機をかけて回る。 といってもマンションだからそんなに部屋数があるわけじゃないし、モノも少ない上にき ちんと整頓されてるからすぐに片付く。 鼻歌まじりに掃除機を連れまわして、寝室でベッドの下に掃除機のヘッドを滑らせている と不意にこつんと何かに当たる手応え。 ・・・?何だろう? 何となく気になって掃除機の電源を切って投げ出しそこを探ってみる。 探り当てて引っ張り出してしまったモノに俺は一気に真っ赤になった。 ちょ、ちょっと〜!こんなのこんなトコに置いとかないでよっ/// あ、でも基本的にベッドで使うモノなんだからここでいいのか・・・って、違うよ!何考 えてんだ俺!! 真っ昼間だというのに危うく色々想像を巡らしてしまいそうになって俺はぶんぶんと頭を 振り、熱を持ってしまった頬をペチペチと叩いた。 はぁ・・・一人で何やってんだか。 恥ずかしいなぁもう・・・/// なんだかどっと疲れてしまってがくりと項垂れつつ、俺はとりあえずそれらを元通りベッ ドの下へと押し込んだ。 気を取り直して。 決して広くはないベランダに布団とシーツを干して軽く叩き、掃除している間に洗濯の終 わった洗濯物を干していく。 全部干し終わって掃除機を片付けたらちょっとひと休み。 ソファに座ってお茶を飲みながら今夜の夕食のメニューを考える。 何がいいかな。何が食べたいかな。 和食?洋食?それとも中華? ん〜・・・あ、そうだ。アレがいいかも。 うん、よし決めた。アレにしよっと。 そうと決まれば買い物買い物♪ きちんと戸締りをして近くにあるスーパーまで散歩がてらてくてく歩く。 スーパーは夕飯の買い物客で賑わうにはまだ少し時間が早いせいかそんなに混んではいな かった。 え〜っとぉ・・・。 買い物カゴ片手にウロウロキョロキョロ。 初めてじゃないけど常時来店してるわけじゃないから勝手が分からなくて、目当てのもの を探すのになかなか手間取ったりするんだこれが。 そんな風にうろついてる間についつい関係ないものに目がいったり、安いとつい買っちゃ ったりして気がついたらカゴの中身が予定より増えてるなんてこと、俺だけじゃないよね きっと。 切れかけていたシャンプーも忘れずに購入してレジで精算を済ませると・・・うわ、結構 な量になっちゃったな。 運ぶのは問題ないけど・・・後で怒られそう。 『余計なものを買い過ぎなんだ』 なーんてね。 両手に買い物袋を下げてスーパーを後にし、もと来た道を帰る途中俺はふと立ち止まった。 実は・・・来る時から気になってたんだよね〜。 どうしようかな。 いいや、心に潤い。これは余計なものなんかじゃないもんね。 心の中でそう呟いて、俺は色とりどりの花が軒を飾る生花店で小さな花束を買った。 買ってきた物を夕食に使うもの以外はそれぞれにしまって、花束は玄関に飾って。 さてと、じゃあ早速夕食の下ごしらえしちゃおっかな。 本日のメニューはハンバーグステーキ。 定番だけど、だからこそ失敗する心配もないしお腹もいっぱいになるしいいでしょ。 おっと待てよ。それより先にご飯はあるのかな。 ん。よしよしあるある。 今日来ること言っておいたから炊いといてくれたのかな。結構多めにある。 ではご飯も確認したしやりますか。 まずは玉ねぎをみじん切りにしてバターでほんのりきつね色になるまで炒めてあら熱を取 る。 その間につなぎのパン粉を牛乳に浸しておいて、お肉を合わせる。 牛挽き肉と豚挽き肉はおおよそ3対1。そこに鶏レバーをみじん切りにして加えると濃厚 でコクのある味になるんだ。 氷水に当てたボウルにお肉と玉ねぎ、牛乳を吸わせたパン粉、さらに卵、ナツメグを加え て手のひらでわし掴むように力強く練る。 あんまり練り過ぎると焼き上がりが固くなるから要注意。 できたら後は成形するだけ。 ボリュームのある大き目のハンバーグにしたいから・・・気持ち、量を多く手にとって、 両手で投げあうようにして空気を抜きながら形をまとめていく。 最後に、火が通りやすいように真ん中を窪ませて完成。 焼くのはもうちょっと後だからその間は冷蔵庫で寝かせておく。 付け合わせはマッシュポテトとにんじんのグラッセ。 サラダはトマトのアボカドソース。 スープは簡単に市販のコンソメを使ってキャベツとベーコンのコンソメスープ。 ハンバーグのソースは・・・どうしようかな。 この際色々用意して好みで選んで食べてもらうことにしようかな。 ケッパー入り生クリームソース、にんにくしょうゆ、おろしポン酢・・・と、デミグラス ソースは後で焼いた後の肉汁を使って作ろっと。 どれどれ味見・・・うん、OK完璧! は〜出来た〜。 使った調理器具を洗って流しを片付けてエプロンを外して・・・またちょっと一息つこう かなと思ったけど、そろそろ洗濯物を取り込まなきゃ。 干したての洗濯物って匂いといい手触りといいすっごく気持ちがよくって最高だよね〜。 思わず口元を弛ませつつ洗濯物をたたんでそれぞれの収納場所にしまっていく。 大体分かってるつもりだけど間違ってたらゴメン、だ。 そして同じく干してあったシーツと布団を寝室に運んでベッドメイキング。 お日様をいっぱい浴びたシーツはほわんと温かくてい〜い匂い。 かすかに彼の匂いも残ってて何だか幸せだ〜・・・。 ・・・・・・。 ・・・・・・。 ・・・・・・はっ! いっけない、うっかりうたた寝しちゃってた!今何時!? うわ、まずい!定時上がりならもうすぐ帰って来る! 慌てて飛び起きてまずお風呂を沸かした。 これも便利だよね。浴槽の底に栓をしたら後はスイッチひとつだもん。 さぁ、残すはハンバーグの仕上げだ。 バターを熱したフライパンに冷蔵庫で寝かせておいたタネをそっと落とす。 片面がこんがり色付いたらひっくり返し、赤ワインを注いで火を弱め、蓋をして蒸し焼き に。 ここ、油断してると焦げちゃうから結構気が抜けない。 無事に焦がさず焼き上げて付け合わせと共にお皿に盛り付け、ハンバーグを取り出したフ ライパンをそのまま使ってデミグラスソースを作って。 スープを火にかけて温めながらテーブルに食器を並べていると、お風呂が沸いたことを告 げるアラームが鳴り、そして・・・。 ガチャリと玄関からドアを開ける音。 その音を耳にした瞬間俺はダイニングを飛び出して玄関に駆け出し、丁度閉めたばかりの ドアの前に立っていた彼に勢いよく抱きついた。 そんな俺に彼は面食らった顔をしたけど、それでもしっかりと抱きとめてくれた。 嬉しくて思わずさらにしがみつく。 と、いけないいけない。大事なことを忘れてた。 我に返ってふと思い直し、彼から少し体を離して俺は言った。 「お帰り、直人」 すると、彼は優しく微笑んで唇に柔らかいキスをくれた。 「ああ。ただいま、浅見」 一番聞きたかった、今日の俺の一日を最高に幸せなものにしてくれるその言葉とともに。 |
料理のレシピはアレです。
御曹司の中の人が某ファッション誌で連載中のコーナー
「彼にコレ作ってあげようv」から拝借。
いつかネタに使おうと心に決めてました。(笑)
ああ、それにしても御曹司ってば乙女全開・・・。