sunrise surprise



「おい、寝るなよ浅見」
「うん・・・」
元旦の早朝。
初日の出を拝むべくまだ朝も暗いうちから出掛けた竜也と直人は、停車した車内で日の出
の時刻を待っていた。
峠の車道から少し脇道に入り込んだその場所は、天候さえよければ丁度真正面に日の出の
陽の光が見える穴場だった。
丁度車一台分のスペースしかないので誰に邪魔されることもなく、寒さに震えることもな
く、落ち着いて車内で日の出を待てるというわけである。
だがその余裕が災いしたのか、もうすぐ時刻も迫ろうかという時になって竜也は助手席で
ウトウトと舟を漕ぎ始めた。
「おい寝るなって」
「・・・うん・・・」
先程から直人が何度そう声を掛けても、竜也の反応は鈍くなっていくばかりで直人は困っ
た。
前日はおせち料理を作る為にほとんど一日中台所に立ちっ放しだったと聞いた。
家で少し眠ったとはいえその疲れが出たのかもしれない。
そう思うと無理に起こすのも忍びなくこのまま寝かせてやりたい気もしたが、そうしたら
そうしたで『どうして起こしてくれなかったんだよ!俺すっごく楽しみにしてたのに〜』
などと後でしこたま理不尽な文句を言われることは目に見えていた。
仕方なく直人は再度その体を揺さぶって声を掛けた。
「おいもうすぐだぞ!起きろ!!」
少しばかり声を大きくしてみたものの、もう既に竜也からは反応が返ってこなかった。
竜也のその様子に直人は大きく溜息をつく。
と同時に、ついには隣からスースーと規則正しい寝息が聞こえ始め、直人は諦めの境地で
こめかみを押さえ車の天井を仰いだ。
(お前が言い出したんだろうがお前が・・・。ったく知らんぞもう・・・)
年が改まっても相変わらず振り回されている自分を自覚して、直人は腹立ち紛れにシート
に身を預けて眠る竜也の鼻先を軽く摘んだ。
「ん・・・」
すると竜也はくすぐったそうに肩をすくめ、眉を顰めて身を捩った。
でかい図体をしているくせに小動物のようなその仕草が可愛らしくも可笑しくて、直人は
小さく吹き出した。
頬をつついてみるとまた同じ反応が返ってきて、直人は先程の腹立ちも忘れて面白くなり、
調子に乗って何度かそれを繰り返した。
そのうち頬に触れていた指先を気まぐれにつと耳へと滑らせ、そこからやんわりとかき上
げるように髪を梳いた瞬間、竜也は違う反応を示した。
「んん・・・」
変わらずくすぐったそうな仕草の中にも、さっきまでとは違い口元や目元が心地良さそう
に弛んでいて、うっとりとまどろむようなその表情に直人の心臓がドキリと高鳴った。
「・・・・・・・・・・」
しばし思案した後、直人はおもむろに座っていた腰の位置をシートの中でずらして助手席
に身を寄せ、同じように指先で耳にかかる髪を梳きながら耳元に唇を寄せた。
「浅見・・・」
確かめるように低く囁くと、竜也の肩がピクリと揺れたがそれ以上の反応はない。
それを見て直人はほくそ笑み、そのまま耳に唇を押し付けた。
「ん・・・ん・・・」
唇で耳朶の輪郭をなぞるように甘噛みしながら、左手の指先で項の生え際をゆっくりとな
ぞって柔らかく癖のある茶髪の中に手の平を差し入れ、頭皮を撫でるようにやんわりと中
で髪をかき混ぜた。
すると竜也はもじもじとしきりに身を捩り、唇からは溜息のような声がもれた。
それを合図にして直人は余っていた右手を竜也の太股に乗せ、ジーンズ越しにゆったりと
そこを撫で上げた。
「は・・・ぁ」
その途端ひときわはっきりとした声が竜也の唇からこぼれ、直人は全ての動きを止めて竜
也をうかがった。
「・・・」
少し身じろいだだけでまたムニャムニャと眠りの世界に落ちていく竜也を見て、直人はこ
とさら慎重に行為を再開させていった。
日の出まであと10分足らず。
起きればそれでよし。
起きなければ自業自得。
尚且つ自分も楽しめる。
そういう発想から仕掛けた悪戯であった。
竜也が起きるまで・・・とは思っているものの、意識のない人形を弄ぶようなその行為は
直人に倒錯的な興奮を少なからずもたらしていた。
髪を撫ぜていた左手をそのまま向こう側へ抜いて竜也の頭を抱き込むように固定し、その
指で耳や顎のラインをくすぐりつつ、抱き寄せることで密着度の増した顔に柔らかいキス
を落とす。
額にこめかみに頬に、何度も触れるだけのキスの雨を降らせる。
「ふ・・・ぅん・・・」
その度にぴくぴくと竜也の体が小刻みに震え、鼻から抜けたようなかすかに甘い吐息がこ
ぼれる。
愛らしいその仕草に思わず直人の口元が弛む。
その間もずっと太股を撫で続けていた右手を不意に足の付け根に這わせると、
「・・・っ」
ヒュッと息を呑んで竜也の顎が上がった。
喉が反り返り露わになった首筋に直人は鼻先を埋め唇を押し付けた。
同時に足に這わせていた手でゆっくりと竜也のセーターの裾をまくり、その手を中に潜り
込ませていった。
「う・・・ん、ん・・・!」
流石に素肌に直に触れると竜也の体はビクリと大きく震え、手の平が体を這う違和感に眉
がきつく顰められた。
それでももう直人は愛撫の手を止めなかった。
上下する腹筋を撫で上げ、脇腹をくすぐり胸を弄る。
唇でなぞるだけだった首筋から顎のラインに音を立てて吸い付き、耳にまで舌を這わせて
チロチロとくすぐるように舐めた。
「あ・・・はあ・・・あん・・・」
激しさを増す愛撫に無防備な体はことのほか敏感に反応した。
竜也の吐息はいつのまにか熱いものへと変わり、眉を寄せ目元を上気させたその表情はど
こか切なげで。
狭いシートの中、竜也はいまだ夢の世界をさ迷ったまま直人の愛撫に何度も身をくねらせ
身悶えた。
「浅見・・・」
竜也の媚態に昂ぶり、同じように熱くなった吐息を吹きかけるようにもう一度名を呼んで、
直人は耳に甘く歯を立てる。
そしてしっとりと汗ばんだ胸で屹立し存在を主張する突起を軽く摘み上げた。
「あっ!・・・あ?」
その途端竜也の体が大きく戦慄き、伏せられていた瞼を縁取る長い睫が波打つように震え
たかと思うと、その瞼がゆっくりと開かれた。
焦点の定まらない潤んだ瞳が直人を捕らえる前に、直人は竜也に深く口付けた。
「!?」
突然引き寄せられ呼吸を奪われ、竜也は驚きに目を見開きとっさに自分に覆い被さる体を
押しのけようとした。
しかしそれが直人であることを認識した途端抵抗の手は力を失った。
歯列を割って奥深くまで侵入した舌に口腔内の性感帯を嬲られ、己の舌を絡めとられてい
く強烈な快感に流されるまま、竜也はまた目を閉じて口付けに酔った。
ひとしきり深く激しいキスを交わして唇を離すと、互いの口元を繋ぐように唾液が銀の糸
を引いた。
それを拭いながら、直人はまだ呆けている竜也に口元を歪めて意地悪く笑った。
「ようやくお目覚めか?ギリギリセーフってとこだな」
「ふぇ・・・?なお、と・・・ぉ?」
「何だおい、まだ起きてないのか?」
反応の鈍い竜也をからかうように、直人は未だにセーターの中に潜り込ませたままの手で
竜也の胸を弄った。
「あ・・・っ!あ・・・そっか俺寝ちゃ・・・って、それはそうと直人これ何?」
寝惚けた顔から一転、竜也は直人の不埒な行為にムッとして服の中で蠢く手を布越しに掴
んだ。
直人は苦笑しながら服から手を引き抜き、ひらひらとひらめかせつつ言った。
「お前が寝ちまうから・・・。放ったらかしにされた寂しさを紛らわせてたんだ」
いけしゃあしゃあとそう言う直人に竜也は頬を赤く染めつつ呟いた。
「直人のスケベ」
その言葉に直人はニヤリと笑うと、おもむろに右手を竜也の足の間に差し入れた。
「人のことが言えるのか?」
耳元に囁くようにそう言いながら、直人は竜也の中心を布越しにやんわりと握り込んだ。
「やっ!な、直人!!」
そこは先程まで直人にいいように触られていたせいで、本人の意思とは関係なく、ジーン
ズの固い布越しにも分かるほど大きく膨張していた。
それを知らしめるように、直人の手がいやらしくそこを撫で上げる刺激に竜也はたまらず
声を上げ身を強張らせた。
直人はそんな竜也の耳元でいかにも楽しそうにくすくす笑った。
「ココ・・・こんなにしておいて・・・な」
「く・・・っ!そ、それは・・・っ、直人が・・・触るからっ!!」
「起きないお前が悪いんだろ」
「あ、や、だめ・・・日の出・・・見るんだか・・・っら!」
「まだ時間はある。それにこんな状態じゃ辛くてどうにもならないだろう?」
「な!直人の・・・せい、だろぉ・・・!?」
「だからちゃんと責任とってやるさ。すぐ楽にしてやるからじっとしてろ」
「やだ・・・い、や・・・あぁあ!」
直人は竜也の制止を無視してジーンズの前を手早く開き、そこに手を突っ込んで勃ち上が
った竜也自身を直に掴んだ。
そしてそのまま強弱をつけて揉みしだき激しく上下に梳いた。
その動きに竜也のモノは下着から引きずり出されて外気に晒され、その先端に雫を滲ませ
始めた。
「あ、あ、はあっ!んああ・・・っ!」
回した腕に力を込めてその肩を抱き、身悶える竜也の体をしっかりと支えながら直人はな
おも愛撫を加えていく。
濡れた先端を親指の腹で捏ね回しぬめりを全体に塗り付けるように手の平で幹を包み撫で
付ける。
「ひっ!ああ・・あん・・あはぁ・・・っ」
激しくひたすら官能的な刺激に、開きっ放しの竜也の口からは甘さを帯びた喘ぎと共に熱
い吐息が吐き出されウィンドウを曇らせていく。
意識しなくとも膝が開き、直人の手の動きに合わせて腰が揺れ宙に浮く。
それを支えようと縋るようにウィンドウに手をつけば、内側からの熱気にすっかり結露し
たガラスにべったりと竜也の手形がついた。
「ああ・・・あ、も・・・もう・・・っ!」
「限界か・・・?いいぜイケよ」
快感と羞恥に打ち震える竜也の扇情的な表情を息がかかるほど真近に見つめ、興奮した声
でそう言う直人に、竜也は大きく首を横に振った。
「やだ・・・ぁ、こんな、トコで・・・」
「今さら・・・。大丈夫だ誰も見てない・・・」
しかし竜也はさらに首を横に振った。
「服・・・汚れちゃ・・・っ」
顔を真っ赤にしてそう言う竜也に直人は一瞬目を丸くしたものの、この期に及んでそんな
ことを気に掛けるある意味竜也らしさに、愛しそうに目を細めてその目元に軽く口付け、
身を屈めて手にした竜也自身をすっぽりと口内に包み込んだ。
「ふあああああっ!!」
熱い粘膜の感触に竜也はシートに後頭部を擦りつけるように仰け反って悶えた。
そんな竜也にお構いなく、直人は竜也を追い詰めるべく口内のモノに舌を絡めきつく吸い
上げた。
「ああっ!あっもう・・・出る!出ちゃう・・ぅ!あっあっ」
その刺激に抗う術もなく、竜也は快感の証を直人の口内に迸らせた。
直人はそれを全て受け止め、こぼさないよう一滴残らず飲み干した。
射精感に脱力し、ハァハァと肩で荒く息をつく竜也の眼前が不意に明るく輝いた。
フロントガラスの向こう側、木々の隙間からこぼれてくる今年最初の太陽の光。
(ああ・・・初日の出だな・・・)
などと思いながら竜也がぼんやりとそれを見つめていると、その横で体を起こしシートに
背中を預けながら直人が飄々と呟いた。
「間に合ったな」
その直人の言葉に遅まきながら自分の惨状に気がついた竜也は大慌てで身なりを整えると、
恥ずかしさのあまりに首まで真っ赤に染めて涙目でキッと直人を睨みつけた。
無言で自分を睨む竜也に気がつき、直人はそんな竜也を鼻で笑った。
「何だ?」
「ば・・・ばかばかばかばか!直人の大ばか!!スケベ!変態!サイテーッ!!」
「随分だな。誰のおかげで無事に御来光が拝めたと思ってるんだ」
「何が無事だよ!!誰がこんな拝み方したかったもんかぁ!!」
「見れたんだからいいだろう?それになかなか縁起が良くてよかったじゃないか。日の出
と一緒にイッ・・・」
「お、親父臭いこと言ってんなよこのエロ親父!!」
その後も延々と続く悪口雑言のちりばめられた竜也の罵声を直人は馬耳東風と聞き流し、
すっかり日も昇りきる頃ようやく竜也が落ち着きを取り戻したのを見計らって、車のエン
ジンを掛けつつぽつりと呟いた。
「ところで浅見」
「何だよ」
「俺はまだイケてないんだがな」
「・・・っ!!知らないよ!!」

朝陽と共に今まさにスタートした新たな一年。
今年もまたバカップル二人に幸多からんことを。






カーセックスまでは無理でした。(撲殺)
実は微妙に
「PAPA Don't preach!-3-」
の続きだったり。(笑)
渡パパ〜
息子さん
さらにエライことされてますよ〜。(大笑)


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