勝手にしやがれ!
〜LoveLoveSHOW・10〜


Side TATUYA


食事をして。
雑談を交わして。
風呂に入って後は寝るだけ。



その風呂を俺は先に使わせてもらって。
そして今悩んでいる。
バスタオルで髪や身体を拭きつつ俺が眺めているのは寝巻用のスウェットの上下。
直人のなんだけど体格はほぼ同じだからサイズは合うし、直人のトコに泊まる時はいつも
借りるから今さら気兼ねすることもない。
問題はそこじゃなくて。
これを着るべきか否か俺は悩んでいる。
だって・・・さ。
後は寝るだけって言ったって俺と直人は恋人同士で、しかも随分久しぶりに会うわけでそ
の・・・『寝る』ってことはつまりそういうニュアンスを含むわけで・・・。
つ、つまりどうせすぐ脱がされちゃうものをここで着る必要があるのかな〜なんて俺は悩
んでるわけだ。
そうかといって例えば着ないで腰にタオルとか巻いて出て行くとすると・・・何か如何に
もやる気まんまんっぽくてやだなーとも思う。
誘ってるようでもあるし・・・まてよ。かえって色気が無いかもしれないな。直人の方に
その気が無かったりするとかなり間抜けだし。
・・・って、べ、別に自分から誘おうなんて思ってるわけじゃないんだって!
あ、でもだからって直人としたくないわけじゃ決してなくって、ヤラシイ奴とかって軽蔑
されたりすると悲しいなって思うだけで、むしろしてほしいっていうか・・・っ!!
はあ。
何やってんだろ俺。
うわ・・・顔熱くなってきちゃった
もう両手が二本ずつあっても足りないぐらい抱き合ってるのにいつまでも慣れないなぁ。
今でも会うだけでドキドキするのに。
アノ時のことなんて思い出すだけで心臓バクバクなのに。
こんな風に思うのって俺だけなのかな。
毎日忙しくて、疲れてないと言えば嘘になるけど。
でも直人に会いたいって思う。
直人の側にいるだけで身も心も生き返る気がする。
まして触れてもらえたら。
ドキドキするけど、もっともっと安らいだ気持ちになれる。
直人に触れてほしい。
会えなくて離れてる間も忘れないぐらい直人を俺に刻み込んでほしい。
そんな風に思うのは俺の身勝手な我侭なのかな?
直人はいつだって余裕で俺を受け止めてくれるのに、俺は一人で切羽詰ってじたばたして
るなんて・・・なんだか情けないよなぁ。
溜息を一つこぼして、結局俺はスウェットに袖を通して風呂場を出た。
台所から直人を覗くと、俺が風呂に入る前と同じ姿勢で相変わらずテレビを見ていて。
「直人ー。お風呂上がったよー」
と俺が声を掛けると、
「・・・ああ」
なんて短く答えて。
そのそっけない声と口調に一瞬ムッとする。
人の気も知らないで・・・。
直人がそうやってのんびりテレビ見てる間、風呂の中で俺がどれだけドキドキグルグルし
てるか!
あ〜あ、やっぱり俺だけなのかなぁ。
未だにこんなに緊張して色々考えちゃうのって。
直人ってば全然落ち着いちゃってるんだもん。
情けないやら悲しいやら腹が立つやら何だかよく分からない気持ちでまた一つ溜息をこぼ
し、俺は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してペットボトルにそのまま口をつけた。
冷たい水がほてった体中に染み渡っていくような感覚が心地良くて、味わうように目を閉
じて角度をつけて喉に流し込んだ。
そうしていると。
不意に強く腕を引かれ、慌てて口の中に含んだ水を飲み下す間もあればこそ、驚きに目を
見開いた俺の視界は一瞬のうちに直人のどアップで覆われた。
そして気がついたときには唇は直人のそれで塞がれていて。
あまつさえ性急に舌を吸い上げられて。
何!?なになに何!?
だって直人さっきまでテレビ見てて・・・一体どうしちゃったの!?
「ふ・・・」
ああでも・・・。
何がどうなってるのかわけ分かんないけど・・・。
気持ち、いー。
きつく抱きしめられて、熱くて柔らかい舌が俺の口内の感じるところを撫でるたびに背中
をぞくぞくとした快感が駆け抜ける。
水を含んで冷たくなった口内がキスですっかり温まる頃には、俺も積極的に直人に応えて
いた。
力が抜けちゃって直人に縋りつきたいんだけど・・・どうしようこのペットボトル。
中まだ入ってるから落とすわけにいかないし。
なんてぼうっとする頭の隅で考えてたら、直人が俺の手からペットボトルを取り上げてく
れた。
俺はすぐさまその手を直人の背にまわす。
身体ごと直人に擦り寄ると、直人はそんな俺に応えてくれるようにもっと俺を強く抱きし
めて俺に覆い被さるぐらい口づけを深くしてきて、俺たちは何度も角度を変えて口づけ合
った。
わずかに仰け反った態勢が少し苦しいけど、それだけ求められてるような気がして胸が熱
くなる。
直人、直人、直人ぉ。
好き。
大好き。
心の中で何度もそう繰り返してひたすら熱いキスと抱擁に酔い痴れていた矢先。
直人の手が俺の腰にまわされたかと思うとそのまま布越しに奥を探ってきて、俺はびっく
りして思わず声を上げてしまった。
な、直人まさか・・・ここで・・・!?
ど、どうしよう。
凄く情熱的なキスだったけど、まさかそんな・・・こんなトコでそこまで・・・?
で、でも直人が今ここですぐ欲しいって言うんならお、俺は・・・っその・・・っ。
俺が声を上げたせいか直人は俺から手を離して、俺を窺うようにじっと見つめていた。
そ、そんな目で見るなよぉ。俺・・・俺・・・。
俺はどうしていいか分からなくて、縋るような思いで直人を見つめ返した。
その瞬間。
直人は口元を上げいつものシニカルな笑みで笑った。
さらにその突然の態度の豹変に面食らう俺の耳元におもむろに唇を寄せたかと思うと、
「続きは後でな」
なんて可笑しそうに囁いた。
そして何事もなかったように俺を置いてさっさと風呂場に行ってしまった。
残された俺は茫然自失。
な・・・なんだよ。何なんだよ。
もしかして・・・もしかしなくても俺・・・。
か、か、か、からかわれたっ!!
う〜、く、くやしい〜っ!!
バカ!バカバカバカっ俺のバカ〜!!
けど!
余裕見せ付けて俺の男心(?)をからかうなんて直人のもっとバカ〜〜〜〜〜っ!!
やっぱり・・・やっぱりドギマギしてるのなんて俺だけなんだっ!
悔し紛れに風呂場のドアに向かって、
「バカっ!!」
なんて叫んではみたものの。
結局そんなのただの強がりの憎まれ口でしかないことは俺が一番分かってる。
それがまた余計に悔しい。
ずるいよ直人。
俺ばっかりこんなにドキドキさせて。
俺はいつになったら直人に対してもっと気持ちに余裕を持てるようになるんだろう。
もしかしたら・・・一生無理かもしれない。
いつまでもお前に振り回されて。
少し不公平じゃないか?
俺ばっかりがこんなにもお前に夢中だなんて・・・さ。






竜也編。
いつまでたっても
自分の相手への影響力に気付かない
ある意味無駄な受けの懊悩。(笑)
一度フィルターを外してみることをオススメします。


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