| 恋の個人教授 |
ヒカルを交えた小津家恒例の仮装クリスマスパーティが行われた魔法部屋。 その盛り上がりを示すように散らかった室内には二人分の高いびきが響いていた。 羽目を外しすぎて疲れたのかそのまま眠ってしまった魁と蒔人である。 片付け等は翌日にする事にして毛布が掛けられそのまま魔法部屋で寝かせておく事になっ た二人の満足気な寝顔を微笑ましく見つめて、ヒカルはそっと魔法部屋を抜け出した。 ヒカルが向かったのは既に戻っているはずの翼の部屋だった。 あまり訪れることのないその部屋の扉の前に立ち控えめにノックすると、すぐに中から扉 が開かれた。 「あれ?もう脱いじゃったのかい?似合ってて可愛かったのに」 翼はパーティの最中に着ていたトナカイの着ぐるみを既に脱いで着替えていた。 当然といえば当然だが、残念そうなヒカルに翼は唇を尖らせた。 「バカ言ってんなよ。先生こそいつまでそんなモンつけてんだよ」 「ははは。そうだね」 ヒカルはといえば襟元に大きなリボン、頭にはとんがり帽子を被せられツリーに仕立てら れた姿のままだった。 ヒカルは「結構気に入ったんだよ」などと笑いながらそれらを外し、招き入れられた翼の 部屋で大きく息をついた。 「何?」 「いやぁ。今日はなんだか長い一日だったなぁと思ってね」 ベッドに腰かけたヒカルの隣に翼も腰を下ろし、二人は今日の出来事を振り返りつつ語り 合った。 「それってあれ?例の『赤の魔法使いに学べ』とかいうスノウジェルの教えのせい?」 「うん。今日は本当に魁から大切なことを学ばせてもらったよ。・・・随分遠回りをしてス ノウジェルに叱られてしまったけれどね」 「しょうがないんじゃねーの?あのバカから学べなんて言われたって分かんねーって普通。 スノウジェルも意地が悪ぃんだよ」 「あははは。でもそれも含めて僕にはいい経験だったよ」 「ま、いいんだけどさ。だからってあんまあのバカに感化されねーでくれよ。俺が困るし」 「なんだいそれは。心配しなくても僕は僕だよ」 お互いの軽口にひとしきり笑いあって途切れた会話を、翼がやや声のトーンを落として続 けた。 「正直さ・・・あんたがあのバカに『生徒にしてくれ』っつった時、ちょっと焦ったんだ ぜ俺」 「うん?」 「あんたが最近何か悩んでること・・・俺気がついてたよ」 「え・・・っ」 翼の言葉にヒカルは驚いたように目を見開き短い声を上げた。 そんなヒカルに、翼は「そんなに驚かなくてもいいじゃん」と苦笑しながらさらに言った。 「そんな時あんたが選んだのはあのバカだった。まぁそれはスノウジェルの導きだったわ けだけどさ。結構凹んだぜ。俺じゃダメなのかー・・・って」 「翼・・・」 「今回のことはさ、確かにあのバカで正解だったんだろうけどさ・・・俺にも何かないの かな」 「・・・・・・」 「な、先生。俺があんたに教えてあげられることって・・・ねぇの?」 「・・・あるよ」 淡々と語る翼の告白にヒカルは即答した。 「え?」 思いがけない速さで返された答えにかえって戸惑い、翼がヒカルを振り仰ぐと、そこには 真近で目を細めて微笑むヒカルの顔があった。 それに一瞬息を呑んだ翼に構わず、ヒカルはそのまま続けた。 「いつもすごく大切なことを教えてもらってる」 「俺が?何を?」 「誰かを・・・愛しいと思う気持ちだよ」 「な・・・っ」 全く予想だにしなかった言葉を耳にして、翼の顔は一気に熱が集中して火照る。 ヒカルは言葉通り翼に愛しげな眼差しを向けながら照れ臭そうに小首を傾げた。 「翼に逢うまで知らなかったよ?こんな気持ちは」 「せんせ・・・」 「ほら、今も凄く感じてる。僕は、僕が思っている以上に君に・・・翼に見守られている んだと知って、僕は嬉しくて幸せで、君のことがたまらなく愛しくて胸がいっぱいだ。全 部、翼が僕に教えてくれてることだよ。翼にしかできない。翼だけが僕の・・・恋の先生 だ」 胸に手を当てて目を閉じ、噛み締めるようにはっきりとそう告げるヒカルのあまりにも真 っ直ぐな言葉の数々に、翼はいよいよ顔を上げていられなくなり、すっかり赤くなった顔 を隠すように膝の上で組んだ両腕に顔を埋めた。 そしてその体勢のままくぐもった声で呟いた。 「先生・・・それすげぇ殺し文句」 「どうして?」 「そんな風に言われたら俺自惚れちまうぜ?」 照れのあまりにぶっきらぼうにそう言う翼の髪にヒカルはそっと手を触れ、優しく頭を撫 でながら耳元にそっと囁く。 「構わないよ。これからもご教授願えるかな?翼先生」 そんなジョークめかしたヒカルの声と言葉に翼はようやく顔を上げ、笑って答えた。 「俺でよければ喜んで」 |
幸せビーム!好き好きビーム!
な二人の世界・・・。(苦笑)
うちの黄金って
翼はいわずもがなヒカルも翼のことが
好きで好きでしょうがないって感じ?
それってちょっと外してるんじゃ・・・。(爆)