ヤキモチ焼きの彼



「すっげぇ男前を見たんだよっ!」
「・・・は?」
開口一番目を輝かせてそう喚いた天馬に直人は眉間に皺を寄せた。
そんな直人にお構いなく天馬はなおも続けた。
「今日さ、宅配の荷物の宛名に『滝沢直人』って名前があってさ。真っ直ぐの『直』に『人』
でお前と同じじゃん?まぁ名前が同じだからって別にどうってことじゃないんだけど、俺
ってばなーんかドキドキしちゃってさ」
照れ臭そうにそう言う天馬に一瞬直人の表情が和らいだのも束の間、続く言葉にピクリと
眉が吊り上がった。
「そんでその荷物届けてどんな奴が出て来るのかと思ってたらこれがもう!ありえねぇぐ
らいの超イイ男だったわけ!」
徐々に目が据わり表情が険しくなっていく直人にすっかり調子付いている天馬は気付かな
い。
「背ぇ高ぇわ、足長ぇわとにかくスタイル抜群でさ!顔がまた美形なの!ちょーっと鋭す
ぎる感はあるけど目元涼しげで鼻筋通ってて・・・。俺思わず見惚れちまってさ〜、不審
がられちまった」
苦笑しながら頬を染める天馬に直人は静かにキレた。
「おい・・・」
「いや〜いるもんなんだな〜一般人にもあんな男前が・・・っと、まてよ。ひょっとして
モデルか役者だったりして。うんきっとそうだ!そういえばどこかで見たような気も・・・」
「天馬!!」
「は?何?」
「それは何か。お前の好みのタイプだったと言いたいのか」
「へ?」
一瞬の沈黙の後、直人は逃げるように天馬に背を向けた。
その背中に天馬は口元を弛ませた。
「あれぇ?」
「・・・・・・」
「あれあれ〜?」
「・・・・・・」
人の悪い笑みを浮かべながら天馬は無言を続ける直人の側ににじり寄った。
「直人お前〜・・・も、し、か、し、て!ヤキモチ妬いたわけ?」
「・・・・・・」
「なぁ直人ぉ」
「・・・・・・」
「なぁ。なぁなぁなぁ〜♪」
「・・・・・・っ!!」
直人の気も知らずにことのほか楽しそうに、からかうように擦り寄ってくる天馬に、我慢
の限界点を超えた直人は振り向きざま怒鳴った。
「当然だ!!」
「おわっ!?」
そして器用に天馬の両足首を掴んで力任せにその体を床に引き倒し、その上にのしかかっ
た。
一転して天馬は慌てたが、直人に眼光鋭く見据えられヒクリと引き攣った。
「お前の口から他の男を褒めちぎるような話を聞いて俺が面白いと思うか?」
「い、いやあの、あのな直人・・・っ」
「しかも何だ?見惚れただと?・・・許せんな・・・」
「そ、それはまぁそうなんだけど・・・って違うし!とりあえず落ち着こう!な?」
「二度とそんな戯言が言えないように今からじっくり教えてやる。お前には俺しかいない
ってことをな・・・!」
「ひっ!?ちょっと待・・・待てって直人っ!あっ!・・・・・・・・・・あん///」

―間―

「・・・・・・」
ベッドの上で身を起こして天馬はじっと己の体を見下ろした。
いつも以上に、まるでマーキングのようにこれでもかとつけられたキスマーク。
と、ついでに歯型。
目に見える範囲のモノを一つ一つ数えていて・・・途中でやめて大きく溜息をついた。
「見ず知らずの他人にまで妬くなっつーの・・・」
ぽつりと呟き、ジロリと横目で隣で背を向けて寝ている直人を睨んだ。
軽く蹴りを入れてみても黙した背中は微動だにしなかったけれど、何となく起きているこ
とを確信しつつ天馬は続けた。
「お前と同じ名前でちょっとカッコいい奴がいてビックリしたってだけじゃん。大体好み
のタイプも何も・・・俺は男になんか興味ねーって」
言いながら天馬も横になり、直人に添うように背中から勢いよく抱きついた。
「お前以外は」
強い口調でそう言って、長めの後ろ髪を引っ張った。
「聞いてるか!?俺が惚れてんのはお前だけ!俺には松坂直人しかいません!!」
さらに念押しするように怒鳴って天馬は直人の背中に額をくっつけて目を閉じた。
しばらくして、天馬は付け足すように小さく言った。
「悪かったな変な話して。けど・・・ちょっと嬉しかったぜv」
くすくす笑う天馬に背中越しに不貞腐れた声が一言呟いた。
「・・・うるさい///」





こっちの(笑)直人さんも
やっぱり独占欲強くて嫉妬深いと
思うわけですよ。
あっちの(さらに笑)直人さんと
好みはかなり違うようですが。(笑)
ナイーブな男心をからかっちゃいかんよ天馬・・・。(大笑)


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