| 光 |
ガントラスとの戦闘の後皆と別れ、また一人で姿をくらまそうとした直人は天馬に呼び出 された。 人気のない林道を天馬が前に、直人はその後ろを1メートルほど離れて歩いていた。 背を向けたまま何も言わない天馬に直人もまた何も言わずに二人は無言のまま歩き続けた。 ふと天馬が立ち止まった。 それを見て直人も立ち止まる。 直人が黙ってその背中を見つめているとやっと天馬が口を開いた。 「・・・なんで黙ってたんだよ」 怒りを押し殺したような低い声だった。 しかしその言葉の意味するところが分からず直人は首を捻った。 「何の話だ」 直人が聞き返すと、天馬は勢いよく振り向いて怒鳴った。 「涼子が知っててなんで俺が知らないんだよ!!」 そう言われて天馬に真正面から見据えられても、何のことなのか身に覚えのない直人は眉 間に皺を寄せるばかりである。 「だから何の・・・」 「俺は知らなかった!」 「・・・・・」 「お前が・・・ずっと一人ぼっちだったなんて俺は知らなかった!!」 その言葉を聞いてようやく直人は天馬が怒っている理由を理解した。 いや、理解してしまえばそれが怒りとは異なるものであることもまた理解できた。 ひとしきり叫んで肩を怒らせたまま唇を噛んで俯く天馬を見つめ、直人は静かに言った。 「・・・赤ん坊の頃に両親に捨てられて施設で育った」 天馬の肩がピクリと揺れる。 「隠していたわけじゃない。だがそんな話、誰彼となく自分から吹聴することじゃないだ ろう」 「けど・・・!」 「涼子から聞いたのか?」 やれやれという風に肩をすくめて溜息をつく直人に天馬は勢いよく噛み付いた。 「涼子を責めんなよ!?涼子は『本人が言わないものを他人が言うことじゃない』って言 ってたんだ!けど俺、涼子が自分とお前が同じだって言ってたのが気になって・・・それ で俺が無理に聞きだしたんだからな!!」 「そうか」 必死に言い募る天馬から視線をそらして一瞬直人は遠い目をした。 それを見て天馬は気まずそうに黙り込んだ。 再び無言の時間が流れる。今度は直人の方から口を開いた。 「天馬」 呼ばれて天馬はおずおずと顔を上げた。 「確かに俺はずっと一人だった。だがそれでいいと思っていた。自分の人生など一人で十 分だとそう思っていた」 「直人お前・・・」 悲しそうな悔しそうな複雑な表情で眉を顰める天馬に直人は苦笑する。 「思って『いた』んだ・・・天馬」 「?」 含みのある言い方をされて天馬はさらに眉を寄せて首を傾げる。 「思っていた・・・だが今もそう思ってるわけじゃない」 「え・・・」 「グランセイザーとして覚醒し、俺の人生には使命があり、共に歩むべき仲間があること を俺は知った。そしてその大切さも・・・。分かっているつもりだ天馬。俺は一人じゃな い。それに一人でいいとももう思っていない」 「直人・・・」 初めて直人の本心とも言える胸の内を聞いて、天馬は嬉しさと安堵で表情を弛ませた。し かし。 「全部お前が教えてくれたことだ」 続いた直人の思いがけない言葉に天馬は驚いて目を見開いた。 「へ・・・俺・・・!?」 ぽかんとしたまま思わず自分を指差す天馬に直人は笑った。 「そうだ。だからそんな顔をするな」 「な!?そ、そんな顔ってどんな顔だよ!」 「『俺には何も出来ない』みたいな顔だ。らしくない」 「誰がっ!!そんな顔してねぇよっ!!」 「そうか」 「そうだ!!」 見透かされた照れ臭さから真っ赤になってぷいっと背を向けた天馬を直人は後ろから抱き しめた。 「ちょ・・・何だよ、よせよっ!」 「お前に会えて・・・よかったと思っている」 「・・・っ!!」 むきになってまわされた直人の腕を振り解こうとじたばたと暴れていた天馬は、耳元で思 いもかけない告白を聞かされて固まった。 真剣で優しい声音に直人の真摯な思いを感じて、天馬の心臓は無意識にも高鳴った。 「・・・本当か?」 「ああ、本当だ」 念を押すように天馬が呟くと、直人はきっぱりと断言した。 力強いその言葉を噛みしめるように天馬はぎゅっと目をつぶり、胸にまわされた直人の腕 にそっと触れた。 「直人」 「何だ」 「俺が・・・いるから」 「・・・・・」 「俺はずっとお前のそばにいるから」 「・・・ああ」 「絶対に離れねぇから・・・一人になんかしねぇから!」 「ああ」 耳まで赤くして必死に思いのたけを言い募る天馬に直人は目を細めた。 思い、思われている幸福が直人の胸を満たし、そのぬくもりを何ものにも換えがたく守り たいと直人は強く思った。 込み上げる思いのままに直人は目を閉じ、まわした腕に力を込めて、腕の中の愛しい存在 を決して離すまいときつくかき抱いた。 <余談> 「ところで」 「何だ」 「お前さ、いつのまに涼子とそんなに親しくなったわけ?」 「別にそう特別に親しくしているつもりはないが・・・」 「昔の話とかほいほいしちまうような仲なのに?」 「その時の話の流れでそんなことを話した気もするがそれだけだ」 「それって涼子もその・・・施設育ちだとかそういう話?」 「いや、そんなことは聞いていない。涼子が自分と俺が同じだ言ったと言うなら、それは 人生観というか物の考え方が似てるとかそういう事なんだろう」 「・・・ずい分涼子のこと分かってんだな」 「涼子はまぁ、ああいうさばけた性格だからな。比較的話しやすいことは確かだ」 「あ、そう。へ〜え、ほ〜お、ふ〜ん」 「何なんださっきから涼子涼子と」 「だって・・・俺は知らなかったもん」 「またその話か」 「だってさあ!!他ならぬお前のことだぜ!?それって俺が誰よりも一番分かってるべき なんじゃねーの!?」 「何故だ」 「な、何でだとぅ!?お前なぁ!俺のこと何だと思ってんだよっ!!」 「恋人だ」 「う・・・っ!(だから何でこいつはそーゆー言葉を臆面もなく・・・///)そ、そうだろっ!?」 「・・・・・」 「その俺がさ、何にも知らねーで、他の奴からお前のそんな生い立ちとか聞いたりしたら さ、やっぱショックってゆーか・・・」 「天馬」 「はい?」 「もしかしてお前ヤキモチを妬いてるのか」 「な・・・っ!!ち、違・・・っ、そんなんじゃねぇっ!!」 「そうか。なるほどな」 「違うって言ってんだろ!!何ニヤニヤしてんだよっ!」 「いや。なんだか結構嬉しいもんだと思ってな」 「ばっ、ばかやろ!ふざけんな!!もうお前のことなんか知らねぇっ!!」 「天馬」 「何だよっ!」 「好きだぞ」 「・・・っっっ///」 「お前だけだ」 「・・・・・バカ」 |
ちょっと本編を絡めてみましたが
見事にエセシリアスに。(苦笑)
このバカップルめらが・・・っ!(笑)
実際のところ涼子さんの
「分かるの。私と直人は同じだから」
発言の真意は何なんでしょうね。