| ユア アイズ オンリー |
夕食を終えた後、今日は何事もなく一日を終えられそうな気配に俺は家を出て夜道を歩い た。 俺は伊達翔太。 ごく普通の高校生だった俺はある日突然選ばれた戦士としての力に目覚め、以来日夜地球 を守る正義の味方として奮闘中だ。 その名もジャスティライザー・ライザーグレン。 なんだけど・・・。 先日とある事情で俺はグレンに変身できなくなってピンチに陥り少々・・・いや、かなり 凹んでいた。 その時俺はある人物に励まされ、力を取り戻すきっかけを得た。 お世話になったというか・・・救ってもらったと言ってもいいと俺は思ってる。 その人の名は松坂直人。 国内最強の伝説の格闘家。 格闘技ブームの昨今、格闘技にさして興味のない奴でも名前ぐらいは聞いたことがあるだ ろう。 まして格闘技ファンなら垂涎の大スターだ。 バイトの行きがかり上偶然会っただけの、ろくに面識もない一ファンである俺をどうして あんなに気にかけてくれたのかは今にして謎だけど、直人さんは弱気になっていた俺に自 ら拳をあわせて喝を入れてくれた。 その時はなんだかバタバタして別れてしまったから、改めてきちんとお礼を・・・なんて 思いつつ実は未だにそれが出来ていなかったりする。 ずっと気にはしていたんだ。でも・・・。 言い訳めいているが俺も一応現役高校生なわけだから日々学校もあるし、そんなことには お構いなく毎日のように敵は現れるしでなかなか機会がなかったんだ。 断じて忘れていたわけじゃない。俺はそんな不義理な男ではない。 だからこそ、俺は今こうして直人さんを訪ねようとしている。 とはいえ自宅は知らないし行くあてといったらジムしかないわけなんだけど・・・はたし てこの時間にまだいるんだろーか。 よく考えればそもそも毎日いるのかどうかもあやしい。 でも他にあてがないんだから仕方ないよな。とにかく行ってみるべし!だ。 俺は足を速めて道を急いだ。 やがて辿り着いたジムの窓にはブラインドが下りていたけれど、その隙間からは明かりが 漏れていて、とりあえず誰か人がいる気配に俺はホッと胸を撫で下ろした。 尚且つ、入り口までまわってドアの上部に据え付けられたガラス窓から中をうかがうとそ こに直人さんの姿が見えて、俺は小さくガッツポーズをとった。 早速入ろうとドアに手を掛けたところで、中からの話し声に気がついた。 どうやら直人さん一人ではないようだ。 いやそりゃまぁいても全然おかしくないんだけど、どうしよう。 何か真面目な話だったりしたら邪魔するわけにもいかないかな・・・。 何となく中に入りにくくなって、俺はついつい中の様子を覗き込み聞き耳を立てていた。 「・・・珍しいな天馬。お前がジムを訪ねてくるなんて」 「まぁな」 『天馬』・・・?その名前には聞き覚えが・・・って、ああそうだ! あの日公園で直人さんが言ってた俺によく似てるとかいう人! そうか・・・この人が『弓道天馬』さん。 『真っ直ぐで単純だけど、燃えるような正義感に溢れたを熱い男』・・・か。 直人さんと並ぶと小柄に見えるけどこの人も結構体格良さそうだよな。 へ〜、ほ〜、ふ〜ん。 「どうした?何かあったのか?」 「べっつにぃ。お前ん家行ったらいねーからさ。ちょっとこっち覗いてみただけっつー か・・・」 「わざわざ?家で待っていればいいだろうに・・・」 「何だよ、いいだろ!?悪いかよ!」 「いや・・・。待たせてすまなかったな。なら帰るか」 「なぁ、ところで・・・さ」 「何だ?」 「今日は・・・いねぇの?」 「?」 「ほら前言ってたその・・・俺に似てるとかいう奴」 「ああ、翔太のことか?」 はい!? お、俺?『翔太』ってひょっとして俺のこと!? な、なんでここで俺の名前が! 俺天馬さんとは会ったことないのになんで俺の話になるわけ!? 「名前なんて知らねぇけどさ。でもまぁそいつ」 全然面識ないのに『そいつ』よばわりって・・・しかも声に微妙な棘を感じるのは気のせ いだろーか。 ひょっとして俺・・・なんか敵意もたれてる? いやいやいや、つーか会ったことないからマジで! 「翔太は別にうちに入門したわけじゃないからな。行きがかり上稽古をつけただけで・・・ そういえばあれ以来会ってもいない」 「あー・・・そう・・・なんだ」 「翔太がどうかしたのか?」 「・・・っ!うるっせーな、何でもねーよ!」 「?自分から聞いておいて何でもないってことはないだろう。何か気になることでもある のか」 「だから何でもないって!別に気になんかしてねーよっ!!」 「何をむきに・・・待て。天馬お前まさか・・・」 「な、何だよ・・・」 「まさかとは思うが・・・。お前、俺と翔太の間に何かあったと勘ぐってるんじゃないだろうな」 「はあ!?な、何言っちゃってんだよ!お、俺はそんなことこれっぽっちも・・・っ!!」 ?『何か』って何だ??? よく分からないけど天馬さんのこの激しいうろたえっぷりを見れば図星だってことはモロ バレだ。ホント単純なんだなこの人。 直人さんも呆れたように肩を落として大きく溜息をついてる。 「お前な・・・」 「何だよ、違うって言ってるだろ!?俺は・・・ぅわっ!」 うわあっ!! 天馬さんが声を上げたのと同時に俺も心の中で叫んでしまった。 ななな何してんの!? 直人さんが天馬さんを抱き、抱きしめた!? 「てめコノ!いつもイキナリなんだよ、離せ!!」 「違わないだろう。ん?」 「ぐ・・・」 暴れてた天馬さんが直人さんが耳元でそう囁いたとたんに大人しくなった。 それどころか悔しそうに唇を噛んで不貞腐れたような顔をしながらも頬を赤らめて、控え めに直人さんの服を掴んで肩口に顔を埋めちゃったりしてる・・・! マジで何がどうなってんの!?何やってんのこの二人!? 「まったくお前は・・・。素直じゃないくせに分かりやすいから困る」 「何だと?」 「あまり分かりやすく妬いてくれるなと言ってるんだ。嬉しくなるだろう」 「な・・・///ぬけぬけとお前な・・・っ」 「だが今回は的外れにも程があるぞ。バカバカし過ぎて弁解する気にもならん」 「そうかよ悪かったな・・・。どうせ俺は馬鹿だよ」 「天馬」 「大体なぁ!そもそもお前が悪ィんだよ!!お前があんまり嬉しそうに俺の知らない奴の 話なんかするから・・・だから俺は・・・っ」 やけくそのようにそう喚く天馬さんの声が途切れた瞬間、俺はこれ以上ないというほど目 を見開いて凝固した。 衝撃のあまり顎が外れんばかりに大きく口は開いていたが、そこからは声も出なかった。 何故って・・・! 天馬さんの唇は直人さんのそれによって塞がれていて・・・発せられるべき言葉は直人さ んの唇に吸い込まれているからで・・・つ、つまりその・・・!! キ、キ、キ、キスしてる・・・っ!! キスしてるよ!! 見間違いでもマボロシでもない! 間違いなく今俺の目の前で男同士のキスシーンが繰り広げられているっ!! し、しかも最初は驚いてた天馬さんもいつのまにか目なんか閉じて直人さんの背中に腕な んかまわしちゃったりして・・・こ、これはいわゆるディープな・・・大人のキスというやつなの では・・・っ!! ここここの二人ってそんな関係だったんだっ!! うわぁうわぁ俺どうしよう!! そうか。天馬さんが会ったこともない俺のこと気にしたり妙に含みのある物言いだったり したのは全部ヤキモチだったのか。そうかぁ成る程。 などと衝撃の事実に俺が一人焦ったり妙に納得してる間も二人のラブシーンは延々と続い ている。 「ふ・・・直人・・・」 「天馬、愛している。お前だけだと一体何度言わせる気だ?」 「直人・・・」 「欲しいのは・・・お前一人だ。天馬・・・」 「俺だって・・・。俺も・・・お前が好きだ。直人は俺のもんだ。誰にも譲らない。いいか?俺 以外の奴に目を向けたりしたら絶対許さねぇからな!!」 「ああ、もちろんだ」 完全に二人の世界だ。 情熱的というか生々しいというか・・・ホントのホントにホンモノだよ・・・。 ってまたキスしてるしぃぃぃぃぃっ! ん?あれ?何だ? なんか・・・直人さんの手が天馬さんの腰に・・・そしてさらにもう片方の手が天馬さん の服の裾を捲り上げて中に・・・! ちょ、ちょっと待ってくれ。 こ、これはまさか今ここでさらに先へ進んでしまおうとかそういう・・・っ!! そそそんな大胆な!何もこんなところで今おっぱじめなくっても!! だ、誰かに見られたら・・・って俺が見てるし! つーか俺も何ずっと出歯亀ってんだよぉぉぉぉ!! だってこれはもう声をかけられる状況じゃないし、いや、じゃあもう諦めてさっさと帰れ ばいいんだけど目が離せないっていうか、『青い春』と書いて『セイシュン』と読む十代真 っ只中の男子高校生の悲しい性というか・・・。 ああ!それはトレーニング用のマットであってそんなコトの為に使うものではないので は・・・っ!! ダ、ダメだ!これ以上は見ちゃダメだ! し、刺激が・・・刺激が強すぎるぅぅぅぅっっ!! ・・・すごいものを見てしまった。 あの松坂直人が・・・。 あの伝説の格闘家がピーでピーとピーでピーしてたなんて・・・っ! 誰にも言えないこんなこと!! でもとりあえずユカには教えよう。ああそれと真也にも。 澪さん・・・に教えたりしたら麗香さんに張り倒されそうだな。 神野は・・・言っても分かんねぇだろうなきっと。 結局お礼は言いそびれてしまったけれど、改めて会ったとして一体どんな顔をして会えば いいのか俺には分からない。 したがってきっともう二度と彼と会うことはないだろう。 ありがとう最高のヒーロー。 天馬さんと二人、どうか末永くお幸せに。 決して仲間内以外には口外しませんから! |
伝説(どこで?)のジャスティ43話!!
直天を主張する者としては
ここはやっとかなきゃダメでしょう!(笑)
というわけで最初で最後(多分)のジャスティコラボ。
タイトルは『マル秘』って意味なんだから
誰にも言っちゃダメなんですよっ!?(笑)