special day



弓道天馬はクリスマスがあまり好きではなかった。
なぜならば。
彼の誕生日は12月14日。
クリスマス・イブと10日しか違わないせいで、そのお祝いはケーキもプレゼントも一緒
くたにされることが多かったからだ。
どうしてクリスマスなんていう日があるんだろう。
そんなものなければ自分はちゃんと自分だけの誕生日を祝ってもらえるのに。
などと子供心に思ったものである。
なので。
目下のところ一応恋人ではあるものの、その性格上ほとんど期待はしていなかった直人が
誕生日を覚えていてくれてわざわざ当日に旅先から電話をしてきてくれたうえに、日を改
めて食事でもどうかなどと誘ってくれたことについて、天馬はものすごく嬉しくて感激し
ていた。
それに続けて直人が『そうだな・・・24日には戻れるからその日にするか。早い方がい
いだろう?』と口にするまでは。
それを聞いた瞬間忘れていた小さなトラウマが刺激されて、天馬は思わずキレていた。
「何だよそれ!!お前までそういう事すんのかよ!!」
『天馬?どうしたんだ』
「どうもこうもあるか!何だよ24日って・・・。俺の誕生日もクリスマスもこの際つい
でにまとめて済ましちまおうってことなんだろ!!」
『・・・・・・・・・・』
握り締めた携帯の向こうに流れる沈黙に天馬はすぐに我に返り、いい年をした成人男子と
して大人気ないことこの上ない発言をしてしまったことを後悔したが、言ってしまったも
のはもう取り消せない。
何も言えずにバツの悪い思いで唇を噛み、一人赤面していると、
『クリスマス・・・?』
という呆けたようなあきれたような直人の声が耳元に聞こえ天馬はますます恥ずかしくな
ったが、意地っ張りな性分から開き直って不貞腐れた。
「何だよ。お前まさかクリスマスを知らないなんて言うんじゃないだろうな」
『それぐらい知っている!お前は一体俺を何だと思ってるんだ』
「いや、だって・・・」
『だがそうか。クリスマスか・・・忘れていたな・・・』
「は?」
『お前の誕生日のことばかり考えて忘れていた』
天馬は絶句した。
いや忘れねぇだろ普通。
街中クリスマスカラーで、どこででもクリスマスソングが流れてて・・・12月24日っ
て日付聞いて「何の日だっけ?」なんて言う奴まずいねぇだろ。
忘れてたって・・・それって何だよ。
それって・・・そんだけ俺の誕生日を大事に思ってくれてるってこと・・・?
相変わらず・・・不意打ちでなんという殺し文句を吐いてくれるのかと、天馬は言葉もな
く直人の言葉を噛み締めぐるぐると思いを巡らせた。
計算ではないのだから本当に性質が悪い。
ストイックなふりして絶対天然のたらしだなどと天馬が照れ隠しの悪態を心の中でつきま
くっている間、直人は口に出していることに気付いているのかいないのか、ぶつぶつと独
り言を繰り返していた。
『そうか・・・。どうするかな。もっと早く戻れればいいんだがそれはちょっと・・・無
理だなやはり。俺としては何をおいても天馬の誕生日をちゃんと祝ってやりたいところな
んだがな・・・。しかしクリスマスを別の日にするというのもおかしな話だしな・・・』
その真剣に悩んで考えあぐねている様子に天馬はすっかり毒気を抜かれて苦笑した。
『天馬?』
「直人ぉ・・・お前バカだろ」
『何だと』
「いいよもう。どっちだっていい」
『何?』
「誕生日でもクリスマスでも、お前が側にいて一緒に祝ってくれるんならどっちでもいい」
一転して素直な天馬の態度に直人は一瞬戸惑ったが、すぐに気を取り直して安堵したよう
に息をついた。
『・・・そうか・・・』
「おう。へへ・・・あー何か・・・何か俺・・・」
『どうした?』
「お前のこと超好きかもv」
『・・・何だ突然』
「うっせーな///何となくそう思ったんだよ今!喜んどけよここは!」
『嬉しいが・・・「超」とか言われると随分軽く聞こえるな』
「んだとコラ!人がせっかく・・・っ」
『天馬』
「何だよ!」
『もう一度言ってくれ』
「・・・バーカ///ちゃんと帰ってきたら今度は直で言ってやるよ。だからさ、待ってるから・・・
絶対帰って来いよな」
『ああ。必ず帰る』
「約束だぜ?破ったら許さねぇからな」
『ああ』
そんな会話を交わして通話を切った後、天馬は12月のカレンダーの「24」の数字を油
性マジックで勢いよく何度も丸で囲んだのだった。





本編最終回では妻帯者になってしまった直人さんですが
そんなものはサクッと無視の方向で。(笑)
(あれはあれでマイベストオブノーマルCPなので良しv)
ウチの直人さんは分かりやすく天馬にベタ惚れです。
天馬も意地は張るけどホントは直人にぞっこん(古)です。
そんな二人です。


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