A Happy New Year



「寒いねぇ」
「そうだねぇ」
大晦日。もうすぐ新しい年へ向けてのカウントダウンも始まろうかという時刻。
仙一と伴番の二人は寒空の下に並んで立ち、白い息を吐きつつ缶コーヒーで掌を温めなが
ら、年越しのお参りに賑わう人の流れを眺めていた。
年の瀬の気忙しさに誰もが浮き足立ち気も漫ろになりがちなこの時期、多少なりとも集中
的に増加する傾向にある事故や犯罪の防止に努める為、アリエナイザー御用達のスペシャ
ルポリスも年末返上でパトロールというわけである。
年越しに浮かれ楽しそうに行き交う人々を羨ましそうに見つめながら伴番はぼやいた。
「う〜俺も炬燵に足突っ込んで年越しそば食べてまったり年越ししたいよ〜」
「仕方ないよ。これもお仕事お仕事」
「そりゃそうだけどさ・・・。ったく!皆がめでたく新しい年を迎えようとしてるこんな
時に何かしようなんて企む奴がいるからいけないんだ!もし俺の目の前でそんなことする
奴がいたら絶対ぶっ飛ばしてやる!!」
多分に八つ当たり的な心情も込められた伴番らしい台詞に仙一は苦笑した。
「ははは、まぁまぁ。その時はお手柔らかにね。ところでさ・・・」
「ん?」
「振り返って今年はバンにとってどんな年だった?」
「え?ん〜そうだな〜この一年か・・・。念願かなってスペシャルポリスになって、それ
でセンちゃんや皆に出会って、色んな事件があって辛いこととかもあったけどでも・・・
うん。すげぇ最高にいい年だったと思う!」
「そっか」
「うん。センちゃんは?」
「俺?そうだね・・・俺も最高の年だったと思うよ」
「ホント?」
「うん。バンに会えたから」
「えっ!?」
「おまけにそのバンを恋人に出来たんだもの。これ以上幸せな出来事ってきっとないよv」
「セ・・・センちゃんてば・・・///」]
ニコニコと笑って臆面もなくそう言う仙一に伴番は照れて真っ赤になりつつもモゴモゴと
口を動かした。
「お、俺も・・・その・・・。俺も・・・センちゃんに会えたこと・・・すごく特別幸せだって・・・
思ってる・・・」
照れ臭そうにもじもじと俯きながらもそう答えた伴番に仙一は嬉しそうに目を細めた。
「ありがとうバン。嬉しいよv」
「え?わ・・・っ!?」
仙一はそう言うと同時に伴番の腕をガシッと掴み、立っていた場所のすぐ後ろにあった繁
みに伴番を有無を言わせぬ力で引っ張り込んだ。
「ちょ・・・っ!センちゃん何す・・・っ!!」
突然の仙一の行動に動転し戸惑う伴番を無視して仙一はその細い体をしっかりと抱き込み
唇を塞いだ。
大きく目を見開く伴番の背中、繁みの向こうでにわかに歓声が上がり、それに続いて
「10!9!・・・!」というカウントダウンの声が大きく響き始めた。
「ふ・・・んん・・・」
その間、繁みの陰で伴番は仙一に口付けられたまま。
性急に舌を吸い上げられる感触に煽られて、伴番も目を閉じてそれに応えた。
「0!」の声と共に一際大きな歓声が上がり、集まった人々が口々に「明けましておめで
とう!」「ハッピーニューイヤー!」と言い合う中、仙一はようやく伴番を解放した。
「は・・・センちゃん!!」
瞳を熱っぽく潤ませたまま、それでも仙一の不埒な行為に対する精一杯の非難を込めた表
情で上目遣いに見つめてくる伴番に、仙一は悪びれた様子もなくニッコリと笑った。
「明けましておめでとうバン。今年もよろしくね」
全く反省する様子のないその態度に伴番は諦めの溜息をつき、拗ねたように唇を尖らせた。
「・・・今年だけ?」
「え?」
「今年も・・・来年も、再来年も、その次の年も、そのまた次の年も・・・ずっと、ずーっと
よろしくな!」
一転して極上の笑みを浮かべてそう言った伴番の言葉に仙一は目を丸くした。
『参った』と思うと同時に愛しさが胸に溢れて仙一はそっと伴番を抱き寄せ、もう一度思
いを込めて耳元に囁いた。
「うん・・・よろしくね」
そして再び唇を寄せたが、それは伴番の唇に辿り着く前に伴番の掌でもってブロックされ
てしまった。
「調子に乗るなよセンちゃん!俺たち仕事中だろ!」
「・・・そうでした」
伴番にたしなめられ、多少後ろ髪ひかれつつも仙一は肩をすくめてまわしていた手を離し
た。
仙一のその様子に、伴番は「分かればよろしい」とでも言うようにこっくりと大きく頷き
くるりと仙一に背を向けた。
その瞬間ぽつりと小さく呟かれた伴番の言葉を仙一は聞き逃さなかった。
「続きは後で・・・な」
声こそか細いものだったものの仙一にちゃんと聞こえていることは承知しているのであろ
う、その後ろ姿は耳まで真っ赤で。
それを見た仙一の口元は自然にほころび、募る愛しさのあまりに対処に困ってぽりぽりと
頭を掻いた。
「ホントにねぇ・・・参っちゃうなもう・・・」
「・・・何だよ」
思わず呟いた独り言を聞きとがめた伴番に肩越しにじろりと睨まれ、仙一は慌てて両手を
上げ、降参のポーズをとって誤魔化すようにおどけた。
「何でもないよ〜。よし!それじゃ、ま、年も明けたし、今年もひとつ頑張りますか!」
「ん!行こうぜセンちゃん♪」
「ロジャーv」
白い息を弾ませて笑い合い、二人は新年の賑わい冷めやらぬ雑踏の中に共に駆け出してい
った。

A Happy New Year v





元ネタは某緑茶のCMの正月バージョン
でございます〜v
いやぁアノ台詞を赤い子に笑顔つきで
言われちゃったりした日には
緑様もきっとメロメロだと。(笑)
相変わらず妄想絶好調な自分に乾杯!
(殴)


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