| Private Lesson |
ここ最近バンとホージーの様子がおかしい。二人とも妙にお互いに対する態度がぎこちな いし、ふとした時にどちらからともなく溜息をついたりして。 この間まであんなにラブラブだったのに。 そう。誰も口にはしないがホージーとバンが付き合っていることは今や周知の事実。 ばれてないなどと思っているのは当人達ばかりだ ウメコやジャスミンなどは興味津々で密かに観察日記などというものをつけていることも 俺は知っている。 (その内容が多分に妄想に基づいて事実に書き加えられていることもついでに知ってい る) そんな彼女達も当然二人の異変に気付き、日々心配げな眼差しを向けていた。 「あの二人・・・どうしちゃったのかなぁ」 「そうね。何かあったのかしら」 二人がこっそりとそう言っているのを耳にして顔を上げると、4つの瞳がじっと物言いた げに俺を見つめていた。 ・・・俺ですかい。 「センさん、男同士だから聞きやすいでしょ〜?」 「そうそう。お願いね」 そう言われて、手っ取り早くジャスミンのエスパー能力を使えばいいんじゃないかとは思 ったものの触らぬ神に祟りなし。 最強の女性コンビの無体なお願いに俺はひきつった笑顔で応えた。 さて、と。どうしますかね。 こういうことは当人同士の問題だから他人が首突っ込むことじゃないんだけどね〜。 まぁでもお願いされちゃったし、確かにあの二人がいつまでもああだとSPDとしてのチー ムの士気にもかかわるし、ひとつ頑張ってみますか。 とりあえずここは・・・。組みしやすいバンから責めるべきでしょう。 そしてある日の業務終了後、俺はバンの部屋を訪れた。 この日ホージーは遅番だから、バンの部屋に彼が来ることはないことはもちろん計算済み だ。 「センちゃん?どうしたの?」 「こんばんは。少し話があるんだけど、今いいかな?」 「うん。いいよ」 突然の俺の来訪に不思議そうに小首を傾げつつもバンは素直に俺を部屋に招き入れてくれ た。 「で、何?話って」 ローテーブルを挟んで自分はベッドに腰かけながらそう言うバンに、俺は単刀直入に切り 出した。 「う〜ん・・・あのねぇバン。ホージーと何かあった?」 「ええ!?」 おお、慌ててる慌ててる。分かりやすい反応だなぁ。 バンに変化球なんて通用しないと思ったから投げてみた直球ど真ん中ストレート、大当た りだね。 「な、何で!?何でそんな・・・」 「だってバンここのところ何だか元気ないから・・・やっぱり何かあったんだね」 「ななな何かって!?そ、それになんで相棒が出て来るわけ!?」 「だって二人は付き合ってるでしょ?」 「えええええええええっ!?」 いや今さらそこでそんなに驚かれても。 あれで本気でばれてないと思ってたんだぁ・・・可愛いっていうか何ていうか・・・。 でもここでそんなにうろたえられても話が進まない。 青くなったり赤くなったりしてオロオロするバンをとりあえず落ち着かせるために俺は言 った。 「落ち着いてバン。気付いてるのは多分俺だけだよ。ほら、こう見えても俺観察力は鋭い から。他の人にはまだ全然知られてないと思うからそんなに慌てないで」 「ほんと・・・?」 「うん。きっとね」 大嘘だけど。 俺の言葉に納得したのかとりあえず落ち着いたバンの横にさりげなく移動してさらに言っ た。 「だからねバン。俺には何にも隠さなくていいからホントのこと言って?君もホージーも 俺にとって大切な仲間だから心配なんだよ。俺に出来ることなら何でも相談にのるから。 ね?」 「センちゃん・・・」 言いながらその肩を抱くと、バンは感激したように目を潤ませて俺を見つめた。 う。そんな目で見つめられるとちょーっと心苦しくなっちゃうな。 歯の浮くような常套句だな〜とか思ってるのに。 バンの純粋な目にあてられてちょっぴり腰が引ける思いの俺を尻目に、バンは言いにくそ うにもじもじと視線を泳がせながらもぽつりぽつりと話し始めた。 「あ、あのね・・・実は・・・その・・・」 「うん」 「その・・・う、うまく出来なくて・・・」 「何が?」 「いや・・・だから、その・・・ナニが・・・」 「・・・・・・」 バンの告白に俺はしばし考え込んだ。 バンの言わんとしていることがこの期に及んで分からないほど俺も鈍くもなければ純情で もない。 俺の疑問は別のところにあった。 「あの・・・センちゃん・・・?」 顎に手を当てて黙り込んだ俺をバンが頬を赤く染めながら気まずそうにおずおずと覗き込 んだ。 「ちょっと待ってね、バン。それっていつのこと?」 「へ?いつって?」 「それって最近のことなの?」 「え、う、うん・・・半月ぐらい前・・・かな?」 「それが最初?」 「う?うん」 「じゃあ・・・それまで二人の間には何もなかったってこと・・・?」 「そんなことないよ?キスぐらいは・・・」 眩暈がした。 俺の憶測に間違いがなければ二人がそれと分かるほど親密になったのはもう随分前の話だ。 それなのに今の今まで二人の間にはキス以上の関係はなかったというのか。 ありえない。 いい年した大の男二人が何をそんなままごとみたいなお付き合いを長々と・・・奥手にも ほどがある! ああその様子だと何となく「うまく出来なかった」っていうのも大体想像がついちゃうな ぁ・・・悲しいことに。 「あ、ああそうなんだ、ごめんね変なこと聞いて。じゃあまぁそれはそれとして・・・「う まく出来なかった」っていうのは具体的にどういうことなのかな?」 「ぐ、具体的に!?え、え〜と・・・」 また真っ赤になって言いよどむバンを俺は辛抱強く待った。 れっきとした成人男子でありながらこの純情さは如何なものかと思わなくもないけど・・・ 可愛いと思っちゃうから不思議だよねぇ。 まったくこんな可愛い恋人目の前にしていつまでも手を出さないなんて、ホージーってば いっそ天晴れな堅物ぶりっていうか勿体無いっていうか・・・男としてどこか欠陥がある んじゃないのかな。 「・・・どーしても言わなきゃダメ?」 つらつらと色々心の中で思いを巡らせていた俺を上目遣いに見つめるバンに俺は痺れを切 らして溜息をついた。 「いやあのねバン、そこがもうちょっとはっきりしないと俺としても何とも言いようがな いんだけど・・・。まぁ基本的に二人の問題だと思うし、バンがこのままでいいって言う なら俺も無理には聞かないけど?」 俺の言葉にバンはぐっと言葉を詰まらせ、やがて決心したように一言、俺の目を真っ直ぐ に見て言った。 「相談したこと相棒には絶対内緒だよ?」 俺はそれにこっくり頷く。 「・・・何て言えばいいのかな・・・その・・・うまく、は、入らなくて・・・」 ははぁ、やっぱりね。そんなことだと思・・・。 「いやでもちょっとだけ入ることは入った・・・から、それとは違くて〜・・・」 はい? 「う〜んと・・・。だから・・・ちょっとだけ入ったには入ったんだけどそれでも痛すぎ てさ。俺がそんなだから相棒もそっから進めなくなっちゃってどうしていいか分かんなく なって・・・。そしたらその・・・そのまま中に出されて終わっちゃったの」 ・・・・・・ホージー・・・・・・。 散々躊躇った割にはかなり明確にバンが語ってくれた状況を脳裏に思い描き、同じ男とし て俺は思わず目頭が熱くなった。 そりゃあ気まずくもなるだろう。 方や相手を気持ち良くさせるどころかそんな三擦り半以下の情けない体たらくに男のプラ イドずたずただろうし、方や男に突っ込まれて(しかも中途半端に)ただ痛い思いした挙 句に中出しされたんじゃお互いトラウマになっても仕方ないかも。 「でもねセンちゃん!」 「はいっ!?」 「だからって俺別に相棒のこと嫌いになったわけじゃないんだよ!?でも二人きりになる とどうしても意識しちゃって・・・でもどうしようもなくて・・・。俺・・・俺どうした らいいのかな!?」 果てしなく脱力していた俺の肩をバンはやおらがしっと掴んで、先程とは一変した必死の 顔つきでそう俺に言い募った。 何とも健気だねぇ。 だがしかし。 悪いけど正直バカバカしい。 当人同士には大問題かもしれないけど俺にしてみればただのノロケだ。 結局のところラブラブなんじゃないか面白くもない。 『お互い好きな気持ちに変わりないなら大丈夫。焦らないで今まで通り自然に接するよう に心掛ければそのうちちゃんとうまくいくよ』とか何とか、体のいい言葉を掛けて励まし てあげるのは簡単だけど・・・こんなこと聞かされてそれもなんだか癪だよね〜。 あ。 そーだ。 イイコト思いついちゃったかも。 わざわざ相談にのって二人の仲を取り持ってあげようっていうんだから、少しは俺にも役 得があってしかるべきでしょう。うんうん、そうだそうだ。 よし。思い立ったら即行動あるのみ! 「事情はよっく分かったよバン。俺に任せて!」 「え!?わあっ!?」 言うと同時に俺は素早くバンをベッドへと押し倒した。 無防備だったバンは簡単にベッドに背中をつきながらも、突然の俺の行動に目を白黒させ ながら喚いた。 「せ、センちゃん!?何だよ何すんだよっ!?」 「聞いてバン。ことは結構単純な問題なんだよ」 「え?」 「要は二人の知識不足と経験不足が招いた結果だと思うんだよね。だったらそこをきっち り補った上でリベンジすればいいんじゃないかな」 「それは・・・そうだけどでも・・・」 「恐い?」 「う・・・」 「気持ちは分かるけど大人の恋愛にこれは避けて通れない道だし、何よりバンだってホー ジーとこれからもずっとしたくないわけじゃないんでしょ?」 図星を突かれたのかバンはぼっと一気に赤くなった。 けれど小さくこくりと頷く。 「あの、でも知識と経験を補うって一体どうやって?」 小首を傾げるバンに俺はニッコリと笑って言った。 「俺が教えてあげるv」 「はい!?」 目を見開いて飛び起きようとするバンの肩を強引に上から押さえつける。 「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよセンちゃん、教えるって・・・っ」 「だからぁ、手取り足取り腰取り懇切丁寧に分かりやすく実地で教えてあげるから安心し てv」 「安心じゃないよっ!だ、だって実地でってそんな・・・そんなことしたら浮気じゃん!」 おお、当然の意見だね〜。でも他の道なんて選ばせてあげないよ。 こんな美味しい状況逃してたまりますかってね。 「もちろん最後までなんてしないよ。あくまでも勉強だからさ。高度なマスターベーショ ンぐらいに思えばいいから」 「そんな・・・」 「バン。付き合いだしてから何ヶ月も君に手を出そうとしなかった奥手で(無駄に)誠実 なホージーが立ち直るのにあとどれぐらいかかると思う?それにそもそもホージーに任せ っきりにしたせいでこんなことになっちゃったんじゃないの?」 「う・・・」 もう一押しかな。 「ここは君の方がしっかりと正しい知識を身に付けて、ホージーにアプローチしてあげた 方がことはうまく運ぶと思うんだけど・・・」 「・・・・・・」 我ながらなんて無理のある論理展開。 実は矛盾だらけな理屈であることは少し考えれば分かりそうなものだけど・・・なかば煮 詰まってるバンには十分みたいだね。 バンの弱みに付け込んでる自覚のある俺って・・・結構鬼かも。 「勉強・・・なんだよね?」 「そうだよ」 「最後まではしないんだよね?」 「誓って」 「・・・・・・」 ひとしきりじっと俺を見つめて、やがてバンはゆっくりとベッドに横たわって目を閉じた。 閉じた瞼が震えてる。 いやはやほんとにいじらしい限りだね〜。 何事もホージーの為、か。 ホージー。君の為に頑張るバンに俺は力いっぱい協力してあげるからね! 君は君でせいぜいがんばっててよね〜v そんな一夜の努力の甲斐あってか、それからしばらくして鼻の下の伸びきったそれはそれ は晴れやかな顔をしたホージーの姿を拝むにあたり、取りも直さず二人の間がうまくいっ たことを目の当たりにすることになるわけだけど・・・。 いや〜知らないってことは幸せなことだよね〜。 え?何?ほんとに最後まではしなかったのかって? それは企業秘密ですv |
これがもしもシリアスだったら
緑の人は相当酷い人です。(笑)
でもこれギャグですから。
ひたすら美味しいトコ取りな緑を横目に
呑気な青い人を笑ってあげましょう。(おい!)
赤い子が足りない子ですみません。(汗)