| Happiness |
10月8日。 この日は俺こと赤座伴番という人間がこの世に生まれた日。 去年のこの日、俺はまだSPD養成所の訓練生だった。 気の合う仲間と騒いでそれはそれで楽しかった。 ところが今年はと言えば。 去年の今頃には思いもしてなかったけど、俺はこの日を晴れてSPDの一員として地球署で 迎えることとなったわけで。 業務終了直後に派手に打ち鳴らされたクラッカーに俺は面喰った。 一人戸惑う俺に、ウメコにジャスミン、テツにセンちゃん、そしていつもは怒ってばっか の相棒までが口々に「誕生日おめでとう」と言ってくれて、スワンさんが特製のケーキを 俺の目の前に置きながら微笑んで言った。 「地球署に赴任して最初のお誕生日でしょ?驚かせてあげようって、皆でこっそり計画し てたのよ。ねぇドゥギーv」 話を振られたボスも椅子から立ち上がって「おめでとう」って言ってくれた。 この年になって、まさかこんな風に自分の誕生日を祝ってもらえるなんて思ってなくて、 俺はメチャメチャ感激した。 こんな仲間に恵まれて俺って幸せ者だな〜って心から思った。 でも実は・・・。 今年の俺はそれだけじゃないんだ。 キンコーン。 業務後のささやかなパーティもお開きになって、帰ってきた自室でくつろいでいた俺は、 チャイムの音に飛び起きて大急ぎで玄関のロックを外した。 「やあバン・・・っと!うわっ!?」 ドアの向こうにいたのは俺より少し背の高い俺の恋人。 江成仙一。通称センちゃん。 同僚で男だけど、今の俺には一番大切で大好きな人。 実は密かに来訪を心待ちにしていたこともあって、俺は嬉しくて玄関先だということも忘 れて思わず抱きついていた。 誕生日を恋人と過ごせるなんて・・・俺ってホント宇宙一の幸せ者だ。 「センちゃん」 そんな思いを噛みしめるように名前を呼ぶと、センちゃんは俺の頭を撫でながら苦笑まじ りに少し困ったように言った。 「あのさ、バン。嬉しいんだけど・・・上がってもいいかな?」 「え?あ!う、うん、ごめん」 センちゃんの言葉に俺は我に返り、慌てて体を離してセンちゃんを部屋に招き入れた。 「改めて。誕生日おめでとう、バン」 そう言いながら、センちゃんは綺麗にラッピングされてリボンの掛けられた箱を俺 に差し出した。 「うっわあ!ありがとセンちゃんv開けてみていい?」 「もちろん」 よく考えるとセンちゃんから何かプレゼントをもらうのって初めてだ。 ドキドキしながら包装を解いていくと、箱の中にあったのは真っ白な長袖のシャツだった。 「セ、センちゃん」 「何?」 「これってもしかしなくても×××の○○店限定品じゃん!よく買えたね!!」 そう。それは俺のお気に入りのブランドの店舗限定、しかも数量限定の所謂レアモノで。 俺自身すっごく欲しくて、許されるものならばどうにか非番を繰り合わせて買いに走りた いと思っていたものだった。 「まぁね。いやぁ服を買うのに開店前からお店に並んだことなんて初めてで驚いたよ。何 時間も前からあんなにもたくさんの人が来るんだね」 ニコニコと何でもないことみたいにセンちゃんは笑ってそう言うけど・・・限定品常連の 俺には分かる。 結構・・・いや、かなり苦労して手に入れたんだろうことは。 俺と違ってあまりこういう物にこだわらないセンちゃんにはカルチャーショックだったん じゃないかとさえ思う。 「なんか悪いな・・・。大変だっただろ」 「どうして?普段出来ない体験が出来て楽しかったよ。それにそれ、きっと凄くバンに似 合うと思ったから、どうしてもバンに贈りたくてがんばっちゃった」 「センちゃん・・・ありがとう」 こんな風にさりげなく人の気持ちを気遣うセンちゃんの優しいところが俺は大好きで、つ いついいつも甘えちゃうんだよな。 「じゃ、じゃあせっかくだから早速着てみよっかな!」 照れ隠しにわざと声を大きくしてそう言って、俺は着ていた服を脱ぎ捨ててシャツに袖を 通した。 「わぁ・・・」 体の線を際立たせるようなフィット感のあるデザインにもかかわらず、それはまるであつ らえたように俺の体にピッタリだった。 そのことに驚いていると、笑顔のまま無言で俺を見つめていたセンちゃんが言った。 「よかった、サイズピッタリだね。思った通り凄くよく似合うよバンv」 ストレートな褒め言葉に俺は思わず赤面してしまう。 「ホント?へへへ〜///・・・なんか恥ずかしいけどすげぇ嬉しいvそれにしても俺のサイズ なんてよく分かったね」 「そりゃあバンの体のことだったらバンの知らないトコまですみずみと・・・」 「いやその先言わなくていいから」 ことさら嬉しそうに破顔してそんなことをのたまうセンちゃんに俺は肩を落とした。 ほんとにすっごく優しくていい人なんだけど・・・たまに真顔でさらっとエロ親父発言を かますんだよな〜。 これさえなければな・・・。 なんて思いつつ、今やそんなところもひっくるめて惚れてしまっている自分を自覚してさ らに肩を落とした。 「ん?」 と、そんな俺の目にさっきまでシャツが収まっていた箱が目に入った。 よく見るとそこにはもう一着服が入っているようで、俺は慌てて箱を手に取った。 広げてみるとそれは半袖のシャツだった。 「センちゃんこれは・・・?」 「あ、気がついた?うん、それも一緒にプレゼントだから」 「あ、ありがと。でも・・・」 今は10月だ。 秋も深まりもうすぐ冬支度も始まろうかという今、半袖シャツとはこれ如何に? 思わずセンちゃんを真似て逆立ちしてしまいそうなほど戸惑っている俺にセンちゃんは笑 って言った。 「それはねバン。おまじないだよ」 「おまじない?」 「そう。来年の夏もそれからもずっと一緒に過ごせますように・・・っていうおまじない」 「・・・っ!」 言葉に詰まった。 嬉しい・・・っていうか、ジャスミンの言葉を借りるなら微妙に感動。 ずるいよセンちゃん。 こんなの反則だ。 いつも、センちゃんが想ってくれるより俺の方がセンちゃんのこと好きでいたいって思っ てるのに・・・かなわないって思っちゃうじゃんか。 幸せ過ぎて胸が締め付けられて、不覚にも目尻に熱いものが込み上げた俺を、センちゃん がそっと抱き寄せた。 「どうしたのバン?嫌だった?」 俺はセンちゃんの腕の中で力いっぱい首を横に振った。 「センちゃん大好き!俺絶対一緒にいる!ずーっとずーっとセンちゃんと一緒にいる!!」 そう叫んでその背中に腕を回してぎゅうってしがみついた俺に、センちゃんは「うん」っ て小さく呟いて、照れ臭そうに笑った。 来年の夏。 7月のセンちゃんの誕生日には絶対これを着てセンちゃんの側にいるんだ! と、俺は心に誓った。 <おまけ> 「ところでねぇバン」 「うん?」 「好きな相手に服を贈るのってね。ある特別な気持ちが隠されてることがあるんだよ」 「特別な気持ち?」 「ズバリ下心v」 「はあ!?」 「好みの服を着せてそれを脱がしたいっていう欲望の現れってことだね」 「・・・センちゃんはどうなわけ?コレは」 「脱がしていい?」 「もう!センちゃんのスケベ!!」 「好きな子の前では男なんて誰でもそんなもんでしょ」 「開き直るなよな〜。まったく普段は超優しいのにこれだから・・・」 「こんな俺は嫌い?」 「・・・・・・・・・じゃない」 「ん?」 「・・・嫌いじゃないよっ!」 「愛してるよ〜バン〜vvv」 |
ラブラブ度当社比1.5倍って感じですね。
いやぁ久しぶりに赤い子を泣かさずに済んで
よかったよかった。(笑)
しかし私は緑の人は白いままでは終われない、
且つヘンタイにしないと気がすまないようですな。
(おまけをつけなきゃいいのにね・・・)