FIRST



ベッドの端に座ってゆっくりと口付けあった。
そっと唇を解いて片手で頬を撫でると恥ずかしそうに目元を赤らめて俯く、伴番のその
初々しい仕草に宝児は愛しそうに目を細める。
「バン・・・」
クールを自負する己の胸をどうしようもなく熱くする彼の名を呼びながら宝児はもう一度
口付けた。
口付けながら宝児は人の心の摩訶不思議さに思いを馳せた。
宝児と伴番の出会いの印象は最悪に近いものだった。
少なくとも宝児にとっては。
それが為にまさかこいつなんかと思い続けていたあの頃・・・。
運命のイタズラかそれともマチガイか。
何もかも無くしても君だけは離せない。
などと今やそんな一昔前の歌の歌詞のようなことを自分が思う日が来るとは・・・と、宝
児は感慨深く思った。
そして今。
お互いの心を確かめ合った二人は紆余曲折を経て、ついに身も心も結ばれようとしている
のであった。
「あ、あの相棒・・・」
ベッドへと横たえられながら伴番は焦ったように言った。
「何だ」
「俺・・・俺その・・・は、初めてだからこーゆーのよく分かんなくてそれであの・・・
お、俺、どうしたらいい・・・のかな・・・?」
顔を真っ赤にしてオロオロと視線をさ迷わせて言い募るその仕草は、言葉よりも雄弁に初
体験であることを物語っていて、宝児はそれが嬉しくて、またそんな伴番があまりにも可
愛くて勢い土砂崩れを起こしそうになる顔を懸命に堪えた。
「大丈夫だ・・・お前は何もしなくていい」
「で、でも相棒・・・」
「いいと言ってるだろ。それに・・・相棒じゃない」
「!!」
聞き慣れたお約束のフレーズなのに全くニュアンスの違うその言葉の響きに、伴番は首ま
で赤くして宝児に抱きついた。
「・・・ほーじ、好き」
耳元で小さくしかしはっきりと告げられたその言葉に宝児の胸は大きく高鳴る。
「ああ・・・俺もだ」
ともすれば上擦りそうになる声を何とか抑えてそう返し、宝児に身を任せるように全身の
力を抜いた伴番の服を宝児はゆっくりと脱がし、自らも服を全て脱ぎ捨てた。
お互いに全裸になって宝児は改めて伴番の身体を見下ろした。
初めて目にする伴番の裸体。
細いが決して貧弱ではないしなやかな身体のラインや意外にも白くキメの細かい肌や・・・
その何もかもが宝児の目に眩しく映る。
だがしかし。
焦がれた恋人の裸身に甘く誘われはするものの、自分と同じ機能をもった紛うかたなき同
性の肉体を前にして宝児は無意識に緊張した。
先ほど戸惑う伴番に偉そうに「大丈夫だ」などと言ってみたところで、「同性を抱く」とい
う点においては宝児もまた初体験なのである。
これまでに決して豊富とはいえないまでも積み重ねてきた経験の対象はあくまでも女性。
男性など対象外どころか問題外だった宝児にとって伴番に恋したことは言わば青天の霹靂。
しかしながら恋する男の本能というものは意外に単純で、性別がどうであれ想う相手と肌
を重ね合いたいという欲求はごく自然に溢れ膨れ上がった。
そんな募る想いにまかせて何の予備知識も無いままココまで突き進んでしまった宝児は正
直なところ何をどうすればいいのか皆目見当がつかず、この期に及んで戸惑い実のところ
既にいっぱいいっぱいになりつつあった。
「そんな見るなよバカ・・・」
よもや宝児がそんなことを思っているなどとは露知らず、自分を凝視する宝児の視線に伴
番は身を捩って恥じらい、その仕草に宝児は我に返った。
「あ、ああ、すまん」
思わずどもってしまった自分を打ち消すように宝児はぶんぶんと大きく頭を振った。
成せば成る!
そんな言葉が宝児の頭に浮かんで消えた。
兎に角もとりあえずこれまでの経験と知識に基づいて行為を進めてみることに腹を決めた
宝児は改めて伴番の上に己が身を重ねた。
「バン・・・」
「あい・・・宝児・・・」
いつものくせでつい『相棒』と呼びそうになり、慌てて言い直す伴番に苦笑しながら、宝
児は伴番を抱きしめ深く口付けた。
「はあ、ん・・・あ・・・」
耳朶から首筋、鎖骨へと唇を滑らせながら宝児は伴番の肌のいたるところを弄った。
反応のあるところを重点的に撫でると、伴番の体はぴくぴくと魚のように小刻みに跳ね、
唇からは吐息のような声が漏れた。
それに気をよくして幾分緊張が解れた宝児は、女性のような膨らみこそ無いが、赤く色付
いて宝児を誘う胸の先にそっと指先で触れた。
「ん・・・っ!」
途端にビクンと伴番の体が大きく震え、反応の大きさに宝児の方が驚いた。
「感じるのか?」
言いながら、宝児はそこをさらに指で摘んだり軽く引っ掻いたりして刺激を与える。
宝児としては純粋に確認の言葉だったのだが、伴番には胸を触られて女性のような声を上
げて感じてしまった自分をからかう言葉に聞こえ、伴番は羞恥に両腕で顔を覆った。
「あっあっ・・・や・・・っんなこと・・・言うな・・・!!」
次第にぷっくりと膨らんで立ち上がり赤みを増す胸の飾りと恥ずかしがる伴番の仕草に調
子に乗った宝児は、もう片方の飾りに唇を寄せ舌を絡めて吸い上げた。
「ひぅ・・・っああ・・・っ!」
痛いほど尖った胸の先を片方は指先で揉まれ片方はしゃぶり上げるように何度も吸われ、
自分でもそんなところが感じるなんて思いもしなかった伴番は堪えきれない喘ぎをこぼし
ながらいやいやと頭を左右に振った。
ひとしきり伴番の胸を責めていると、自分の体の下で伴番の中心が首をもたげ始めている
のに宝児は気がついた。
その快感の証にこういう部分は男の体は分かりやすくていいななどと思いながら宝児は内
心安堵した。
(何だ・・・。男も女も感じるところは大して変わらないんだな・・・)
さらにそんな不埒なことを考えながら余裕の出てきた宝児は、先ほど撫で回した伴番の肌
にきつく吸い付いて所有の痕を残しつつ、熱くなりかけている伴番の中心をおもむろに掴
んだ。
「ああっ!や・・・宝児!!」
顔を覆っていた腕を振り解いて、伴番は信じられないモノを見るような目で自分の下半身
を凝視した。
宝児の長い指が自分のモノに絡み付いている様が酷く卑猥で、伴番は咄嗟にそこから宝児
の手を外そうと手を伸ばした。
しかしそれより早く宝児が手を動かし始め、伴番の手は宝児の手に添えただけの結果に終
わった。
「あうっあっ!やだ・・・ほーじ、ダメぇっ!!」
同じ男同士、その部分こそどうすれば気持ちいいか分かっているだけに、宝児はここぞと
ばかりに伴番を責めた。
初めて味わう他人の手による刺激と宝児のその手管に伴番の中心は見る間に形を変え、宝
児の手の中でぴくぴくと脈打ち蜜をこぼした。
「ああ・・・あーっ!」
「・・・っ!」
自分の手で乱れ、絶頂を迎えた伴番の痴態に宝児は猛烈な昂ぶりを感じた。
その証拠に宝児自身も先程からはちきれんばかりに猛っている。
込み上げる衝動の赴くままに、宝児は達したばかりで弛緩している伴番の足を大きく開い
た。
「ちょ、や、宝児!」
解放の余韻から一転して、性急な宝児の行動に伴番は慌てて身を起こす。
するとあられもない自分の格好と、自分自身ですら見たことのないような部分をじっと見
つめる宝児の姿が目に入って、羞恥のあまりに伴番は言葉を無くした。
そして当の宝児はというと。
さっきの勢いはどこへやらでまた戸惑っていた。
同性間、特に男同士の性交渉についてのなけなしの知識から最終的にそこに挿れるのだと
いうことは分かっているのだが。
(こんなところに本当に入るのか!?)
初めて目にしたそこはあまりにも小さくて、形を為した男性器を挿入できるなどとは宝児
にはとてもではないが思えなかった。
「宝児・・・?どうしたの?」
一向に動こうとしない宝児に、伴番は羞恥に目を潤ませながらも恐る恐る声をかけた。
不安げに震える伴番の声に宝児は焦る。
「い、いや・・・何でもない・・・っ」
受け入れる伴番こそ未知の体験に緊張しているはず。
その不安を自分が煽ってどうするのかと宝児は自分を叱咤し、そっと伴番の秘部へと手を
伸ばした。
ごくりと生唾を飲んでからからに渇いた喉を潤し、指の先でそこに触れる。
「ひゃ・・・っ」
喉を震わせて伴番の体が強張る。
同時に触れたその部分も宝児の指を拒むようにきつく口を閉ざす。
宝児はそこを撫でるように何度もゆったりと弄った。
「ん・・・ん・・・」
くすぐったいのか伴番はしきりに身を捩る。
そうするうちに一度閉じた秘口はまた綻び始め、宝児はその動きに合わせて指を一本慎重
に差し入れた。
「うぁ・・・っ!」
途端に上がった伴番の悲鳴とともにぎちぎちに指を締め付けてくる内壁に宝児は息を呑む。
指一本でこの状態なのにここに自分のモノなど挿入したら一体どうなってしまうのか!?
そんなことを脳裏に思い描きながら、宝児はそれでもやんわりと挿入した指を蠢かした。
「痛・・・っあ・・・っ宝児・・・ぃ!」
抜き差しするたびにきつく絡みつく、熱く生々しい肉壁の感触に徐々に宝児は夢中になり、
伴番の声を遠くに聞きながら指を二本に増やした。
ある程度ほぐれていたせいか今度はさほど苦もなく飲み込んでいく。
それを見て取った宝児は差し入れた二本の指をかなり大胆に動かした。
「ひぁっ!ん・・・くぅ・・・っ!!」
本来受け入れるようには出来ていない器官を強引に抉じ開けるようなその行為を、伴番は
喉元まで反らせて仰け反り四肢を震わせながらも必死に耐えていた。
とんでもなく痛いし苦しい。
嫌だ!やめてくれ!と口を付いて出そうになる言葉を、愛する人と一つになる為だと思え
ばこそ唇を引き結んで飲み込む。
しかし既にてんぱっている宝児には伴番を気遣う余裕は既に全く無く、伴番がそんな快楽
からは程遠い状態にあることにも気付いていなかった。
「バン・・・っ!」
ついに我慢の限界を超えた宝児は、指を抜くと同時に伴番の両足を抱え上げ猛った自身
を秘口に押し当てた。
「え!?ほ、ほうじ待・・・うあぁあっ!!」
指にすらまだ全然慣れていない自覚のある伴番は宝児の強引な行動に驚き制止しようとす
るが、宝児はそれに構わず切っ先を押し込んだ。
伴番の口から悲鳴が迸り、体はショックにがくがくと痙攣を起こす。
当然秘口は規格外の異物を激しく拒み、宝児の方も食い千切らんばかりの締め付けに苦鳴
をもらす。
「く・・・あ・・・っ!」
しかしながら痛みを感じながらも、欲望の先端をヒクヒクと蠢く熱い肉の粘膜に包まれて、
宝児は味わったこともない想像を絶する強烈な快感をも享受していた。
(凄過ぎる・・・っ!!)
乱れる伴番の呼吸に合わせて断続的に締め上げられるたびに宝児の腰に痺れるような快美
感が突き抜ける。
こう見えて実は色事にはかなりお堅い宝児である。
それゆえ他人と交わる行為自体がかなり久しぶりで、いわゆる溜まっている状態だった宝
児にこの刺激はかなりきつかった。
「バ、バン!そんなに締めるな・・・っ!力を抜いてくれっ!!」
先を挿入しただけだというのに早くも猛烈に込み上げる射精感を必死に堪え、情けなくも
声を震わせながらそう懇願する宝児の言葉にも、伴番は答えることすら出来ずただ無言で
涙をこぼしながら激しく首を横に振るばかりである。
「う・・・っ」
その振動がさらに宝児に刺激を与え、宝児の目の前は真っ白になった。
「え・・・」
「あ・・・」
そして。
気づいた時には宝児は中途半端に挿入したまま伴番の体内でイってしまっていたのである。
何が起こったのか一瞬理解できなかった伴番は自分の下腹部に感じた違和感に大きく目を
見開いて宝児を見上げた。
宝児もまた己のしでかしたことが信じられなくて目を剥いたそのままの体勢で伴番を見下
ろした。
ハタから見るとなんとも間抜けなコントの一場面のような表情で二人はしばし固まった。
伴番自身はもちろんとうに萎え、次第に伴番の大きな目が潤んでこぼれんばかりに水滴を
湛え出したのを見て宝児は盛大に焦り、勢い萎えた自身を引き抜いた。
「・・・っ!!」
その瞬間ずるりとした感触とともに宝児の放ったモノが溢れて内股を伝い、現実を否応無
く突きつけられた伴番の目からとうとう涙がこぼれて落ちた。
「バ、バンっ!?」
「ふ、く、うぇ・・・ふえぇぇ〜〜〜〜〜っ」
身を翻してうつ伏せ、枕を抱え込んで伴番は泣きじゃくった。
初めてで、それなりに愛する人との甘い交わりを思い描いていたものがこんな洒落にもな
らない結果に終わった挙句に、男の身でいきなり中出しされたショックは計り知れない。
そんな伴番に向かい、宝児はやおらベッドの上で両手をついてシーツに額を擦りつけた。
「すまん!ほんっとーにすまん!!悪かった、許してくれ!次は・・・次こそはちゃんと
するから!頼むから泣かないでくれーっ!!」
その夜、宝児は一晩中恥も外聞もなく何度も何度も頭を下げて伴番に謝り倒した。
その姿に地球署きってのクールエリート、パーフェクト・ブルーの面影は片鱗さえもなか
った。

今は昔。今となっては笑い話。
そんな二人の初夜であった。





ああ!石投げないで下さい!
勘弁して下さい!
すみませんすみません!
しかし・・・青い人のヘタレっぷりよりも
むしろ私は何気に乙女チック過ぎる
赤い子の成人男子にあるまじき思考の方が
書いてて気になりましたがそこは如何でしょう!?
そんなことはどうでもいいですか?そうですか。
いやほんとにごめんなさい〜っ!(平に)


<<<BACK