バスルームトーク



目の前で頭からシャワーを浴びる映士の体に、真墨は湯船の中からそっと手を伸ばした。
「ひぇっ!?馬鹿お前イキナリ触んな!吃驚するだろうが!」
無防備だった皮膚を突然撫でられ映士は飛び上がって真墨に怒鳴った。
しかし当の真墨はそんな映士の怒声を馬耳東風と聞き流し、映士を見つめたままぼんやり
と呟いた。
「いいカラダしてんなぁお前・・・」
「な」
その言葉の意味を図りかねて映士は言葉に詰まる。
単に体躯のことを指して言っているのかそれとも。
真墨との関係を鑑みると別の意味にも解釈できるのだが、映士は咄嗟にそんなことを考え
た自分自身に羞恥を覚えぶんぶんと頭を振り、わざと前者の意味にとって誤魔化すように
笑って言った。
「ふふん。羨ましいか?」
「ああ、羨ましい」
「へ?な、何だよやけに素直だな。いつももっと噛み付いてきやがるくせに気色悪ぃ」
「うるせぇなほっとけよ。はぁ・・・何だって俺の体はこんなに細いかな」
「好き嫌いばっかしてっから栄養が足りねぇんじゃねぇのか?」
「それこそ大きなお世話だ!つーか、骨格自体が細く出来てんだきっと・・・食っても太
らねぇんだよ昔から。だからなかなか筋肉もつかねぇし」
「ふ〜ん」
ひとしきりぶつぶつと呟いて自分の言葉にさらに凹んだのか、真墨は浴槽の縁にもたれか
かるように組んだ腕に顔を伏せてしまった。
それを見て、映士はおもむろに真墨の後頭部めがけてシャワーの湯を降りかけた。
「ぶわっ!?てめ、何しやがる!!」
「そのままでいいじゃねーか」
「あ?」
がばっと勢いよく顔を上げて映士を睨んだ真墨だったが、意外な映士の言葉に、その声の
柔らかさに目を丸くした。
「俺様は今のまんまの真墨が好きだ」
「・・・っ!!」
絶句する真墨に映士は微笑んでそう言うと、シャワーを止めて何事もなかったかのように
バスルームを出て行った。
そして扉越しに聞こえた「のぼせる前に上がれよー」という映士の声に、真墨は湯船に座
り込んだまま独りごちた。
「無理だろ・・・アホ・・・///」
そのままずるずると頭の先まで湯船に沈み込む。
顔どころか体まで赤くして既にのぼせきっていた真墨だった。





黒が凹んでる時には
甘やかしてあげる銀。(笑)


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