| EYES of DARKNESS |
初めて会ったときから感じていた。 こいつは俺様とどこか同じ匂いがする。 こいつの中には・・・闇がある。 きっと宿命のように生まれ持った深くて昏い闇が。 「おい、こんなトコで寝たら風邪引くぜ?」 そう声をかけてもソファにだらしなく寝転がった真墨から返事はなかった。 微動だにしない体の中で胸だけが規則正しく上下する。 この野郎。せっかく俺様が来てやってんのになんて態度だ。 そりゃ、まぁ・・・俺様が勝手に来て上がり込んでるんだけどもな。 そんなことを思って小さく舌打ちしつつ、眠る真墨の傍らに座り込んで所在無くその寝顔 を眺めた。 顔の半分にまでかかる長く伸びた前髪をそっと指でかき上げる。 俺様も髪は長くしてるから(このぐらいが一番面倒がねぇんだ)人のことは言えないが、 前髪がこうも長いのは鬱陶しいんじゃないかと思う。 でも実は知ってる。真墨が髪を切らずに伸ばしている理由。 真墨は自分の容姿にコンプレックスがあるらしい。 特に黒瞳がちな大きな目が真墨は嫌いなんだそうだ。 確かに小さな顔の中で真墨の目は目立つ。 小柄な体躯と相まってその目が童顔さを強調し、見る者に幼い印象を与えてしまうのだと 真墨は思っているようだ。 なかなか的を射た自己分析だとは思うが・・・だからといってその目を隠そうとして前髪 を伸ばすというのはどうなんだ。 その発想と行動自体がガキ臭えと思うのは俺様だけか? 俺様は真墨の瞳が結構好きなんだがな。 黒曜石みてぇに真っ黒でキレイで隠しちまうのは勿体ねぇと思うのに、それを言ったら真 墨は真っ赤になって「嫌なモンは嫌なんだよっ!」とムキになって喚いた。 つくづく可愛い奴だよな。 髪で顔を隠したところで本質的なところがそれじゃあな。 正直無駄な努力だぜ。 目を閉じるとますます幼さが増すあどけない寝顔を見つめつつ苦笑する。 「本質・・・か」 今しがた胸のうちで思った言葉を思わず口に出して呟いて口元を引き結んだ。 初めて会ったときから感じていた。 こいつは俺様とどこか同じ匂いがする。 こいつの中には・・・闇がある。 きっと宿命のように生まれ持った深くて昏い闇が。 他の誰に分からなくとも俺様には分かる。 俺様もずっと・・・闇を抱えて生きてきたからだ。 今もこの身に流れ続ける血の宿命という名の闇を。 今にして思えば、だからこそ俺様はこいつに惹かれたんだろうと思う。 けれど俺様の身に巣食っていた闇は・・・もう闇ではなくなった。 逃れることの出来ないものだと思い込んで、ただ闇雲に憎み続けてきたその闇を照らし打 ち払った光。 それは俺様を受け入れ、信じ、必要とし、支えてくれた仲間の存在。 明石暁、最上蒼太、間宮菜月、西堀さくら・・・そして伊能真墨。 こいつらに会えたから・・・こいつらがいてくれたから今の俺様がある。 なのに・・・同じように皆が側にいるのに・・・こいつの闇は消えない。 何故だろう。むしろ最近・・・濃くなってるような気さえする。 真墨は元々トレジャーハンターとして明石をライバルして、その存在を越えるためにボウ ケンジャーになったと聞いた。 今でもそうなのか?それがお前の闇を深めているのか?お前の闇は一体どこにある?どう すればお前の闇に光を射してやれる? 俺様に何ができる? そんなことを思いながらふと自分の手のひらを見た。 人類に仇なすアシュを魂滅し続けてきた手。 俺様にも・・・誰かを救えるんだろうか? 滅することしか知らなかったこんな俺様にも。 真墨・・・。 俺様は・・・お前を・・・。 「ん・・・」 唇を噛み、開いた手のひらをきつく握り締めたのと同時に真墨が深く息を吐いて身じろい で、はっと顔を上げた。 動いたせいでせっかくかき上げてやった前髪がはらはらと真墨の顔にかかる。 その奥で真墨の瞼がゆっくりと持ち上がって瞼の下の瞳が露わになった。 「えい、じ・・・?ああ悪ぃ。寝ちまってたか?」 奥深くに闇を潜ませた漆黒の瞳。 やっぱりキレイだと思った瞬間、俺様は衝動的に真墨に抱きついていた。 「うぉっ!?なんだよイキナリ!おい映士!?」 驚いてもがく真墨に構わず腕に力を込める。 「映士・・・?」 やがて真墨が訝しげに俺様の名を呼び背中に腕を回して抱き返してきても、俺様は何も言 えず顔も上げられなかった。 何故だか胸が痛くて、涙が溢れた。 |
銀黒のようだけど心意気は黒銀で!
あくまでも受けの立場から銀が黒のことを
思いやってるのがポイント。(私的に)