| お熱いのがお好き? |
「あ、あ・・・蒼、太・・・っ」 白いシーツの海に背を沈め、映士は喘ぎながら切なげに肌を重ねる相手の名を呼ぶ。 一糸纏わぬ姿で重なり合い、組み敷いた体の至るところに口づけながらその奥を指で暴い ていた蒼太はその声に顔を上げた。 潤む瞳で蒼太を見つめ、映士は熱い吐息とともに続けた。 「もう、いいから・・・挿れろよ」 「ホントに?もう平気?」 気遣わしげにそう聞き返してくる蒼太に映士は軽く眉を寄せる。 蒼太は筋金入りのフェミニストで紳士である。 映士は女ではないが蒼太が初めて本気で惚れ込んだ唯一無二の恋人で、それ故に かその紳士然とした振る舞いは映士が男であるからといって崩されることはなかった。 それはベッドの中でも同様で、女扱いするということでは決してないが、その過ぎるほど に優しく丁寧な扱いは映士にしてみれば多少・・・いやかなりじれったく、しばしば閉口 を禁じえないものだった。 今もまさにそうだった。 既に全身、髪の毛の先から足指の爪の先に至るまで、蒼太の指と唇が触れていないところ はなく体の隅々まで甘く蕩けて、ローションにまみれた奥は蒼太の長い指を三本も根元ま で柔らかく呑み込んでいるというのに蒼太は先に進もうとしない。 それは一重に受け入れる側である映士の身を気遣う蒼太の優しさ故なのだということは映 士自身よく分かっているのだが、蒼太を受け入れることに慣れてしまった体はどうにもこ うにも焦れて仕方なく、不本意ながら自ら求める言葉を口にしたというのにまだ動かない 蒼太に映士は軽く怒りを覚えた。 「あのな!俺様が大丈夫だって言ってんだ!やる気がねぇなら今すぐ俺様の上からどけ! そうじゃねぇならさっさと挿れやがれ!!」 眉を吊り上げてそんな悪態をつく映士だったが、目元を赤く染めたままでは全く迫力はな い。 むしろ今にも泣き出しそうな面差しに蒼太は思わず苦笑する。 「ごめん。かえって焦らしちゃったみたいだね」 言いながら蒼太は映士の中からゆっくりと指を引き抜いた。 「ん・・・蒼太・・・」 その感覚に引き摺られてぞくぞくとした快感が背筋を走り、映士は急くように蒼太の体に 腕をまわして口づけをねだった。 「映士」 求められるままに蒼太は映士にひとしきり深く口づける。 唇を離して、唾液に濡れた映士の唇を指先でなぞりながら蒼太は映士を宥めるように柔ら かく微笑んだ。 「もう少し待ってて。準備するから、ね?」 そう囁いてちゅと鼻先にひとつキスを落として体を離す蒼太に、映士はまた眉を寄せた。 憮然とした顔で、映士は目の前でベッドサイドを探る蒼太に問うた。 「なあお前さ」 「ん?何?」 「お前なんでいっつもそれつけるんだ?」 「は?」 映士が「それ」と言って指差したのは、蒼太が手にした小さな正方形のパッケージに包ま れたゴム。一般的に言うところのコンドームであった。 いわゆる避妊具であるそれを蒼太は今まで行為の際に決して欠かしたことはなった。 今までとは生まれてから今日に至るまでである。 数え切れない夜を幾多の女性とともに過ごした経験のある蒼太だが、ゴムもなく行為に及 んだことは一度としてなかった。 それは妊娠を望んでの行為ではない以上守って然るべきマナーであり、蒼太にとっては当 り前過ぎるほど当り前で何の疑問も抱いてはいなかった。 それゆえに思いもよらなかった映士の問いに蒼太は目を丸くして固まった。 戸惑う蒼太をどう思ったのか、映士は鼻を鳴らして腕を組み偉そうにふんぞり返ってさら に言った。 「知ってるぜ?それはアレだろ?セックスしても女が孕まねぇようにつけるモンだろ?」 「え、ああ、うん、まあ・・・そう・・・だね」 「なら俺様とやる時につける意味はねぇんじゃねぇのか」 「え〜と、いやでもほら、性病予防とかいった意味もね」 「何だ。お前なんか妙な病気持ってんのか?俺様はねぇぞ」 「僕だって持ってないけど」 「なら何か。俺様が半分人間じゃねぇから何かしら用心してるって訳か」 「そんなこと思ってるわけないだろ!」 「じゃあなんでつけるんだ」 しばしの問答の末結局振り出しに戻ってしまった問いに蒼太は言葉を詰まらせた。 確かに映士は男であるから妊娠の心配はない。 今のところお互い病気の心配もない。 となれば映士がことの必然性を感じないのも無理からぬことかと思えるのだが・・・。 今の今までゴムなしに行為に及ぶことなど考えてもいなかった蒼太には、それはなんだか 禁忌を犯すような躊躇いがあった。 「・・・いいの?つけなくても」 「意味がねぇって言ってんだ」 「な、ナマでしていいってこと・・・?」 おずおずと蒼太が尋ねるのに映士は即答し、蒼太はごくりと喉を鳴らした。 腐ってもボウケンジャー。 未知の領域に足を踏み入れることに対して期待感が不安感を駆逐していくものらしい。 しかしながらまだ煮え切らない蒼太の物言いに先に映士の方が痺れを切らした。 「だから意味がねぇだろうが!!意味のねぇことをする必要はねぇ!!そうだろ、違う か!?」 「は、はいっ!」 キレた映士の剣幕に気圧され蒼太は思わず背を正し、映士はさらに畳み掛けた。 「大体お前はいつもいつも細けぇことに気ぃ使いすぎなんだよ!俺様も男でお前も男だ! 男同士なんだからもっとワイルドにいけ、ワイルドに!!」 「本当に・・・いいんだね?」 「おう!男に二言はねぇ!来い!」 「それじゃあ遠慮なく。いかせて頂きます!」 情事の場にそぐわないこと甚だしい、まるで喧嘩腰のような台詞を吐いて、男らしくも両 腕を広げる映士に、蒼太は手にしていた正方形のパッケージを破ることなくベッドの下へ と投げ捨てて映士の胸に飛び込み、未知の冒険へと旅立って行った。 その後、未だ知らずにいた快楽の虜となった蒼太と、己の浅はかな言動を呪う羽目になっ た映士との間で、情事の際にはゴムをめぐってささやかな攻防が繰り広げられるようにな ったのだった。 |
いきなり出来上がり設定で
しかもヤッちゃっててすみません。
青はS全開の鬼畜攻めでも全然イケルんですが
今回はあえてへタレっぽく。
実際のところ
「ナマでなんてしたことないっ」ってな未婚の殿方は
どのぐらいいらっしゃるもんなんでしょうかねぇ?